韓国は貿易で食べている国です。貿易収支で大きな黒字が出ないと、経常収支も黒字にはなりません。
↑韓国の貿易収支の推移(通関ベース)。2023年03月までで13カ月連続赤字。
この構造はテッパンで、それが故に輸出が縮小した韓国は現在困った事態に陥っています。
特に韓国の輸出を支えてきた半導体と対中国貿易が暗礁に乗り上げた今、これを抜け出すのは容易なことではありません。
「輸出でもうからなくなったらおしまい」という構造なので、輸出をなんとか増加させない限り(貿易収支を大きな黒字にしない限り)、韓国経済を復元させることはできません。
半導体は下半期には世界的IT不況から脱する、なんていわれていますが、そうなればいいですが「ならなかったらどうするよ?」なのです。
また中国貿易については、Money1でも何度もご紹介しているとおり、2023年からは「中国がもうけるターン」となって、そのターンが継続する可能性が高いのです。
↑韓国の対中国貿易の貿易収支の推移(通関ベース)。2023年は3カ月連続の赤字
二国間関係において、貿易収支はどちらかが黒字になれば、もう一方が赤字になるのは自明のこと。中韓修好30周年で「韓国がもうかるターン」は終了したと見るべきです(2023年は31年目)。
で――本題ですが『中央日報』に見逃せない数字が出ています。以下に該当箇所を引用してみます。
今、韓国経済の最大の難題は対中輸出不振だ。
韓国経済の地政学的・構造的問題の総決算だ。
中国への輸出は昨年04月以降、ほぼ1年間減少傾向だ(昨年05月に1.3%微増)。
今年第1四半期の対中貿易赤字は78億4,000万ドル、全体貿易赤字の35%だ。
中国との貿易でこのような赤字を見るのは韓中修交30年で初めてだ。
中国は過去数十年間、韓国の黄金市場だった。
中国が『WTO』(World Trade Organizationの略:世界貿易機関)に加入したのが2001年。
それから2022年まで、韓国は中国との貿易で6,816億ドルの黒字を記録した。全体貿易黒字(7,462億ドル)の91.3%だ。
主力市場で脱落したのだから、韓国の輸出全体が健全であるはずがない。
総輸出は6カ月連続減少、貿易収支は13カ月連続赤字だ。
全世界の輸出市場で韓国のシェアは金融危機以降、最低(2.74%)に落ちた。
このままでは「輸出大国韓国」というタイトルが危うくなり、輸出をエンジンとしている韓国経済が危機に陥る可能性がある。
(後略)⇒参照・引用元:『中央日報』「중국 시장과 작별할 각오」
2023年第1四半期の対中貿易赤字がすでに「78億4,000万ドル」といったことはすでにMoney1でもご紹介してきましたが、注目いただきたいのは、
だという点です。
つまり、韓国は2001~2022年の間国を成立させてきた貿易黒字のうち、91.3%を締めた対中国貿易をすっかり失い、赤字になろうとしているのです。
これで韓国は経済が成立するでしょうか。
この『中央日報』の記事の筆者である、イ・サンリル論説委員は「輸出をエンジンとしている韓国経済が危機に陥る可能性がある」と書いていますが、違います。もうすでに危機に片足を突っ込んでいるというべきです。
(柏ケミカル@dcp)