中国は輸出について困難に直面しています。
これまで中国が「世界の工場」としてかっぱいできた市場で退潮が明らかだからです。
2023年04月13日に中国の海関総署(税関です)が公開したデータを見てみると以下のようになっています。
↑Googleの自動翻訳なので日本語がヘンなところがありますがご寛恕ください。⇒参照・引用元:『中国 海関総署』公式サイト
2023年03月の輸出総額は「3,155億8,930万ドル」。01~03月累計で「8,218億3,140万ドル」。対前年同期比の増減で「+0.5%」です。
「なんだ減少してないじゃないか」と思われるかもしれませんが、輸出相手国別に見ると面白いことが分かります。「これまで主要輸出先だった国」への輸出、その対前年同期比の増減を見ると、以下のようになるのです。
対EU:-7.1%
⇒対ドイツ:-11.7%
⇒対フランス:-14.1%
⇒対イタリア:-14.7%
⇒対オランダ:-4.1%
対アメリカ合衆国:-17.0%
対日本:-2.4%
対カナダ:-17.1%
見事にマイナスです。これに対して顕著に輸出を増やしている国があります。
ロシアです。以下をご覧ください。
対ロシア
輸出:+47.1%
輸入:+32.6%
ロシアに対する輸出が47.1%も増えています。ほぼ5割の増加ですから、対ロシア輸出を約1.5倍に増やしたことになるのです。
自由主義陣営国への輸出が減少して困っていますが、ロシアとの貿易は著しく増加しているのです。背景には、もちろん合衆国とのデカップリング、ウクライナ戦争による「ロシア – 中国」の寂しん坊同士の連携があることは言うまでもありません。
中国の対ロシア貿易(輸出 + 輸入)金額は01~03月累計で「538億4,560万ドル」になります。ASEAN諸国の雄・ベトナム(521億1,540万ドル)との貿易規模よりも金額が大きくなりました。
面白いデータがあります。
対韓国です。以下をご覧ください。
輸出:+6.0%
輸入:-28.2%
中国は、韓国への輸出は増やし、韓国からの輸入を大きく減少させています。これは韓国は「対中国貿易において赤字が常態化するのではないか」と心配していますが、その心配を裏付けるデータです。
韓国はともかく、中国は自由主義陣営国との貿易で輸出が減る分を、ロシアとの貿易で補おうとしている――そのような見立ても可能です。ロシアのようなソ連に向かってビンボになっていく国との貿易を拡大しても未来はあるのでしょうか。
(吉田ハンチング@dcp)