「韓国が反射利益を得る」などと強弁していたのですが、そんなことは起こらないと分かりました。
2023年03月31日、中国は先にご紹介したとおり、アメリカ合衆国の半導体企業『Micron(マイクロン)』に対する嫌がらせを行うことを公表しました。
中国で販売される『Micron(マイクロン)』社製品についてサイバーセキュリティ審査開始のお知らせ
2023年3月31日 20:30重要な情報インフラのサプライチェーンのセキュリティーを保護し、ネットワークセキュリティーに起因する製品の問題や潜在的なリスクを防止し国家の安全を維持するため、「中華人民共和国国家安全法」、「中華人民共和国ネットワークセキュリティー法」、「ネットワークセキュリティー審査対策」に基づき、中国で販売する『マイクロン』の製品に対して、ネットワークセキュリティー審査を実施することにしました。
ここに発表するものです。
韓国が反射利益を得るというのは、このような「検査」によってマイクロンの製品が中国に販売できなくなり、代わりに韓国製がそのシェアを得る――という話です。
しかし、2023年04月23日『Financial Times』が面白い記事を出しました。
タイトルからして一目瞭然で「US urges South Korea not to fill China shortfalls if Beijing bans Micron chips」(合衆国、北京がマイクロン製チップを禁止しても中国の不足分を補わないよう韓国に要請)です。
サブタイトルが奮っていて、「White House has tried to enlist Samsung Electronics and SK Hynix in its semiconductor battle with Beijing」(ホワイトハウスは、北京との半導体戦争にSamsung ElectronicsとSK Hynixを参加させようとしている)です。
有料記事ですので引用することはできませんが、内容はそのママで、マイクロンが中国に半導体を売れなくなっても、「その穴を韓国企業が埋めるんじゃねーぞ」です。
一応「要請」ですが、これは事実上の指示です。
――というわけで、残念ながら韓国は反射利益を得ることができません。もっとも韓国のことですので、迂回でもなんでも手を考えて自国企業の利益を追求するかもしませんが。
<<重要な追記>>2023年04月24日21:30
2023年04月24日、中国外交部の定例ブリーフィングで以下のような応酬がありました。
『ロイター』記者:
中国側が『マイクロン』にメモリーチップの販売を禁止した場合、合衆国は半導体ギャップを埋めるために中国での販売を拡大しないよう韓国に要請したとの報道がある。これに対する報道官のコメントは? また、『マイクロン』に対する調査について、詳しい情報を教えてください。
毛寧:
中国は、合衆国の対中半導体輸出規制について、繰り返しその立場を表明してきた。合衆国は自らの覇権的な自己利益を維持するため、「デカップリングと鎖の切断」を推進し、同盟国に合衆国と協力して中国を封じ込めるよう強要しているが、これは市場経済の原則と国際経済貿易ルールに著しく違反し、世界の生産・サプライチェーンの安定を乱し、中国を含む各国の企業の利益を害している。
このような利己的で自分勝手な行動は不人気であり、中国はこれに断固反対する。
我々は、関係各国の政府と企業に対し、善悪を区別し、多国間貿易システムを守り、世界の産業連鎖サプライチェーンの安定を維持するために協力することを求める。
以前にも、『マイクロン』社の状況について説明したことがある。
中国の関連当局が、国家安全保障に影響を与える、あるいは与える可能性のあるネットワーク製品について、法令に基づきサイバーセキュリティー審査を行うことは、通常の規制措置である。
やっぱり「効いてる」ということでしょう。
(吉田ハンチング@dcp)