合意も何も、日本は独自に行えば済む話なのですが、一応日韓の首脳が合意した格好です。
NATO首脳会議でリトアニアを訪問している日本の岸田文雄と韓国の尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領が会談を行いました。
第20代大統領室からは、以下のようなプレスリリースが出ています。
前回の広島G7以来、1カ月半ぶりに総理大臣に再会することができてうれしいです。
G7の準備に大変ご苦労され、また多くのご配慮に感謝いたします。共に努力した結果、日韓両国関係は改善と発展の方向に今動いています。
私は、日韓両国が協力して、地域の平和と繁栄、グローバルな懸案事項の解決に大きく貢献できると信じています。
本日、北朝鮮は04月に続き、再びICBMを発射しました。
これは地域と世界の平和と安定を脅かす挑発行為であり、国連安全保障理事会決議への明らかな違反です。岸田総理と私は今朝のAP4サミットでこのような認識を共有しました。
日韓両国は、インド洋地域の平和を守るために緊密に協力し、NATOとの協力体制も強化していきます。
今年の下半期も、岸田総理とさまざまな機会に格式にかかわらず会談を続けながら、緊密なコミュニケーションを行うことを期待しています。
⇒参照・引用元:『韓国 第20代大統領室』公式サイト「韓国-日本首脳会談の発言」
当たり障りのない話に終始しているプレスリリースで、ここには「福島処理水」に言及したかどうかは書かれていません。
ただし、大統領室は以下のような説明をしています。
尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領は、「国民の健康と安全を最優先事項として考慮しなければならない」として、「原子力安全分野の代表的国連傘下国際機関である『IAEA』(国際原子力機関)の発表内容を尊重する」と発言。
①計画どおり放流の全過程が履行されるかモニタリング情報をリアルタイムで韓国と共有するように要請
②放流関連点検過程に韓国専門家参加も要請。
『IAEA』に「原子力安全分野の代表的国連傘下国際機関である」という枕詞が付いているのは、最大野党『共に民主党』から、「『IAEA』の報告書は信用できない」「国連傘下の機関ではない」といった非難の声が挙がっており、これらを打ち消すためでしょう。
大統領がこのママ言ったかどうかは分かりません。
上掲のとおり、尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領は「①リアルタイムのデータをよこせ」「②放流の過程点検に韓国の専門家も参加させよ」と要求した、となっています。
実現するかどうかは不明ですが、『IAEA』のグロッシー事務局長が「日本にとどまって放流過程が全部終わるまで見届ける」と述べていますので、特に韓国の関与など必要ありません。
グロッシー事務局長がここまで言っているのに、韓国では「『IAEA』の代わりの国際機関を作ろう」 などという声が上がっているのです。これなど「韓国の思いどおりに発言する国際機関を作ろう」と言っているようにしか聞こえません。
ともあれ、日本の岸田文雄が何と返したかは、以下のようになっています。
「日本首相として海洋放出の安全性に万全を期して、自国民および韓国国民の健康と環境に悪影響を与える放出はしない」と発言。
「汚染水(原文ママ)の海洋放出開始後、『IAEA』の検討を受け、日本が施行するモニタリング情報を高い透明性をもって迅速に公表する」
また、尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領は「(放射性物質の濃度が基準値を超える状況などが発生した場合)直ちに放流を中断し、私たち側にその事実をすぐに伝えてほしい」と述べ、岸田文雄は「計画どおり、即時放出中断を含め、適切に対応をとるだろう」と答えた――となっています。
このやりとりは、処理水の放出が前提です。つまり、日韓の首脳は事実上、日本の福島処理水の放流について合意したということです。
さっそく韓国の極左メディア『ハンギョレ』などは「若干の温度差はあるが、両国首脳とも汚染水(原文ママ)放流を公式に既定事実化したものだ」と非難の記事を上げています。しかしながら、その非難に科学的根拠は一切ありません。
(吉田ハンチング@dcp)