韓国に『GS建設』という建設会社があります。韓国ではTop5に数えられる最大手会社の一つですが、手抜き工事が発覚しました。
事の起こりは、2023年04月29日、同コンソーシアムが施工を担当した仁川の新都市マンション建設現場で地下駐車場が崩壊しました。
『GS建設』は当初施工不良を否定していたのですが、国土交通部が調査に乗り出し、2023年07月05日、以下の調査結果を公表しました。
分かったのは、完全な施工不良、手抜き工事でした。
(前略)
国土交通部(長官ウォン・ヒリョン」は、仁川アパート建設現場の地下駐車場崩壊事故※と関連し、建設事故調査委員会(05.09.~07.01.)の事故調査結果と事故現場特別点検(05.02.~05.11.)の結果を公開した。※ ‘23.04.29(土)23:25頃、地下駐車場のスラブが崩壊(地下1~2階 約1,289平方メートル、人的被害なし)
建設事故調査委員会(委員長:ホン・ガンホ教授、以下、事故調査委員会)は、事故調査結果を基に、
①設計・監理・施工などの不備によるせん断補強筋の未設置、
②崩壊区間のコンクリート強度不足など品質管理の不備、
③工事過程で追加される荷重を少なく計算したことを主な事故原因として指摘した。
ㅇ事調委はこれに対する再発防止対策として、①無梁版構造の審議手続きの強化および専門家の参加拡大、②生コンの品質管理及び現場コンクリートの品質改善、③検査手続きの強化および関連基準の連携・補完を提案した。
ㅇ事故調査委員会のホン・ガンホ委員長は「最終報告書は、調査結果などを整理・補完して07月中に国土部に提出する予定で、調査報告書が今後の類似事故の再発防止にも役立つことを期待している」と明らかにした。
無梁版構造の建物だったので、梁を用いず柱で直接スラブを支持する仕組みですが、この柱が全然駄目でした。
「せん断補強筋」というのは、地震などによって働くせん断力に対抗するために入れられる鉄筋のことで、これがそもそも入っていませんでした。調査した32本の柱のうち15本(約60%)の柱で鉄筋が欠落していたのです。
また、コンクリートの強度も設計基準より強度が30%以上低かったことも明らかになりました。さらに荷重計算も甘く、間違っていたのです。
無茶苦茶という他ありませんが、『GS建設』は遅ればせながら施工が間違っていたことを認めました。
『GS建設』は「調査結果を謙虚に受け入れ、施工士として責任を痛感する」とし「検団アパート団地全体を再施工し、入居遅延に応じた補償を果たす」と述べたのですが、同社の株価は以下のように急落しました。
国土交通部が調査結果のを公表した07月05日の始値が「1万8,830ウォン」で、翌06日の終値が「1万4,520ウォン」ですから、公表から1日で22.9%も下がりました。
この2日で時価総額「約3,886億ウォン」が蒸発。
まごうことなき暴落です。
『GS建設』業績が赤字転落!
2023年07月28日、『GS建設』が2023年第2四半期の業績を公表しました。以下をご覧ください。
↑Googleの自動翻訳なので日本語がヘンなところがありますがご寛恕ください/スクリーンショット2023年第2四半期
総売上:3兆4,950億5,700万ウォン(14.67%)
営業利益:-4,138億8,500万ウォン(赤字転落)
当期純利益:-2,797億1,700万ウォン(赤字転落)2023年累積
総売上:7兆77億3,800万ウォン(29.20%)
営業利益:-2,550億400万ウォン(赤字転落)
当期純利益:-1,163億6,900万ウォン(赤字転落)※( )内は対前年同期比の増減
⇒『韓国金融監督院 公示システムDART』公式サイト
第2四半期は営業利益・当期純利益が赤字に転落し、合わせて累計の業績も赤字転落しました。
このような状態ですので、『GS建設』の流動性は大丈夫なのか? デフォルトしないだろうか?が懸念されます。ただし、韓国メディア『毎日経済』の記事によれば、『GS建設』は(当たり前ですが)「流動性については心配ない」としているとのこと。
Money1でもしつこくご紹介してきましたが、韓国の不動産PF(プロエジェクトファイナンス)は異常なほど積み上がっており、2023年はこれを巨額返済するフェーズです(しかも貸し手は脆弱な第2金融圏です)。もし、韓国Top5に入る建設会社『GS建設』が不渡りを出すようなことがあれば、バタバタといく可能性があります。
恐らく資金調達市場はまた大混乱になり、『韓国銀行』含む金融当局は火消しに追われるでしょう。
(吉田ハンチング@dcp)