2023年08月18日、アメリカ合衆国大統領の保養地であるキャンプ・デービッドにおいて、日米韓の首脳会談が開催されます。
これに対して、どうしても自由主義陣営国の結束を見出したい中国は外交部・メディア総動員で牽制球を投じています。
狙いは最も弱い環である「韓国」です。
現在は保守寄り政権で、朴正煕(パク・チョンヒ)ワナビーである尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領が頑張っていますが、国内に反日・反米、親北、親中、共産主義・主体思想派という時代に取り残された人々を抱えている韓国ですから、中国は「自陣営側に引き剥がしやすい」と考えているのです。
英語版御用新聞『Global Times』は、2023年08月17日、「韓国はこの泥沼でもがく意味を分かっているのか?」という記事を出しました。
簡単にいえば「合衆国側に行かないでくれ」という悲鳴ですが、中国政府のメディアなので、あくまでも上から目線のド偉そうな書きようとなっています。
記事から一部を以下に引用します。
(前略)
事前に発表されたさまざまな情報は、08月18日にキャンプ・デービッドで予定されている日米韓3カ国首脳会談が、「新冷戦」に移行するラッパを鳴らすことを示している。これは北東アジア、さらには世界にとって不吉なシグナルである。
朝鮮半島問題は冷戦の遺産である。
今日、旧冷戦の未解決の名残はまだ残っており、韓国は「新冷戦」を推進するための発足メンバーとして行動している。
これは歴史的な偶然ではない。その背後には、太平洋の向こうから伸びる隠された手があり、出来事を影で操っているのだ。
(中略)
この文脈で特に注意したいのは、韓国である。
韓国は、この地域に「新たな冷戦」傾向を出現させる重要な変数である。
私たちは、韓国当局が、自分たちがハマっているこの泥水が韓国にとって何を意味するのか、本当に理解しているのかどうか大いに疑問である。
もし理解していれば、「キャンプ・デービッド首脳会談」のチケットを手にしたときに、まるで先生からシールをもらった幼稚園児のような興奮と熱狂を覚えはしないだろう。
それどころか、まるで奈落の底にいるような、あるいは薄氷を踏むような、深い怯えと警戒感に包まれることだろう。このチケットの扱いは非常に難しい。
合衆国との同盟に下心を持つ他のメンバーに比べ、韓国当局が示す地域情勢と世界情勢に対する認識は、過激かつ単純であるように見える。
そのような認識に基づく選択は、北東アジアという極めて複雑な地政学的現実をナビゲートしそうにない。
「冷戦の名残り」の主要な犠牲者として、韓国は「新冷戦」に対して最も警戒し、懸念している国のひとつであったはずだ。
その韓国が、どうして進んで冷戦に同調することができようか?
(後略)⇒参照・引用元:『Global Times』「Does S.Korea know the implications of wading into this muddy water?」
韓国が自由主義陣営国側に立てば、新冷戦のラッパが鳴る――と警告しています。
しかし「戦争だって? そんものはとっくに始まっている」というのが現状で、中国は自身が孤立しているのを認めることになるので「新冷戦」と言わないだけです。
さかのぼれば、新冷戦はトランプ政権下ですでに始まっていました。「ポンペオ国務長官の演説」が新冷戦を告げるラッパだったのです。
「その韓国が、どうして進んで冷戦に同調することができようか?」などと書いていますが、理由は簡単で、「中国のことが嫌いだし、中国共産党に支配されたくないから」です。
中国の皆さんは誤解していらっしゃるかもしれませんが、韓国の皆さんの多くは中国のことが嫌いです。
別に筆者の独断ではありません。『Pew Research Center(ピュー・リサーチ・センター)』のリポートでもそれは明らかです(以下の記事を参照)。
「韓国の皆さんの77%は中国を好ましく思わない」という結果が出ています。
中国からすれば「どうして?」なのかもしれませんが、尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領は国民感情に沿った動きをしていると言えるのです。
(吉田ハンチング@dcp)