韓国の政権交代は王朝交代。そのため、前政権の行ったことはとにかく「なかったこと」にするので、まあやむを得ないのですが……。
尹錫悦(ユン・ソギョル)新政権による前政権否定も露骨になってきました。
小商工人・個人事業主への損失補てん※を行うために尹錫悦(ユン・ソギョル)新政権は2022年度の第2次補正予算として「59兆4,000億ウォン」を編成。
この財源を確保するために、新政権は政府支出の一部カットを行いました。
先にご紹介したとおり、国防予算が1兆5,068億ウォン(2022年度国防予算の約2.8%)も削られたのですが、これに匹敵するほど削られた支出項目があります。
文在寅前大統領がぶち上げた「韓国版ニューディール」です。
「あったなー」と懐かしく思い出す方が多いかもしれませんが、そもそもこの構想は2024年の支出まで決め込んでぶち上げられていました。
韓国版ニューディール構想時予算
2020年:5兆1,000億ウォン
2021-2022年:26兆2,000億ウォン
2023-2024年:45兆ウォン
小計:76兆3,000億ウォン
※2020年06月時点。後に文前大統領が予算規模拡大を呼号
上掲のとおりの大盤振る舞いの予定で、そのため、当然2022年予算にもしっかり支出が組み込まれていたのです。
これが無慈悲に「1兆1,000億ウォン」削られました。
秋慶鎬(チュ・ギョンホ)長官率いる新生企画財政部は「今回の追加予算のための支出構造調整は、今年予算案編成時点からの執行遅延、執行の低調、条件変化など状況変動に起因して今年執行が難しい規模を勘案して減額した」としています。
「規模も大きいし、削れるところを削ろうよ」になったのでしょう。
韓国の新しい輸出産業を育成しなければならない――という点では尹錫悦(ユン・ソギョル)新政権も同じですので、文前政権が組んだ予算でも使えるものは使おう、になるでしょうが、例えば「公務員を増やすんだー」などという全然ダメな予算などはバッサリ削減されるものと推測されます。
文前大統領は、退任前に「あれはいいものだ」と韓国版ニューディールを次期政権も継承しろ――などと主張していたわけ(以下の過去記事を参照してください)ですが、どうもそうはならない様相となってきました。
尹錫悦(ユン・ソギョル)政権が誕生してまだ10日しかたっていないのにもう予算が削られているわけですから。こういうのもダイナミックコリアというのでしょうか。
※コロナ禍に端を発する政府の防疫指針によって営業時間短縮などで甚大な被害を受けたので、その被害金額を最大限に補てんするというもの。小商工人・個人事業主370万人を対象に1人当たり600~1,000万ウォンを支給する。
(吉田ハンチング@dcp)