韓国のドメスティックな自動車企業『現代自動車』は2023年の業績が絶好調でした――という話になっているのですが、実は足元の「国内」がぐらついています。
非常に面白いデータが出ています。2024年01月の韓国内の自動車販売台数が不振だったのです。
2024年01月
『現代自動車』の国内販売台数:4万9,810台(-3.3%)
※( )内は対前年同期比の増減/以下同
特に不振だったのが乗用車(RVなどは別集計)の販売台数で、対前年比で半分未満に減少したのです。
2024年01月
セダンタイプ販売台数:8,573台(-51.8%)
2023年01月のセダンタイプの販売台数は「1万7,793台」でしたから、なんと51.8%の減少です。
セダンタイプの車種は全てのモデルで販売台数が減少しています。以下をご覧ください。
グレンジャー:3,635台(-60.2%)
アバンテ:4,438台(-27.2%)
ソナタ:496台(-80.5%)
次にSUVを見ると、
パリセード:1,741台(-55.6%)
ツーソン:5,152台(+41.7%)
サンタフェ:8,016台(+277.4%)
コナ:1,976台(+131.4%)
となっており、セダンが不振でSUVが好調というのは韓国も同じであることがわかります。
ただし、SUVの結果もあまり喜べるものではない、と指摘されています。販売が「特定のモデルの新車効果に依存しているから」です。
また、電気自動車は不振です。
IONIQ6:4台(-84.6%)
電気自動車の「IONIQ6」は01月はわずか「4台」しか売れませんでした。もっとも、これは政府の補助金の規定がまだ決定されていないからです(2023年の同様の理由で01月は「26台」しか売れませんでした)。
韓国の国内市場全体では、自動車販売台数は弱含みとなっています。なぜこのような状況にあるのかといえば、高金利で自動車ローンが組みにくいこと、また韓国が不景気だからです。
韓国の自動車業界は、2024年、『現代自動車』の国内販売を伸ばすのは容易ではないと見ています。というのは、同社が2022、2023年に「グレンジャー」「ツーソン」「サンタフェ」などの販売比重の大きい主力モデルをすでに出してしまったからです。
一応、SUVの電気自動車「IONIQ7」が発表されると見られますが、最近、韓国では「電気自動車の不便さ」が広く知られるようになっており、販売量が大きくなるのかは分かりません。
過度な期待をしない方がいいのでは……なのです。
このように韓国の国内市場が不安なことは、『現代自動車』自身が一番よく分かっていて、「2024年は国内より海外販売に注力する」という方針を明らかにしています。
『現代自動車』は、
グローバル市場:424万3,000台(+0.6%)
国内市場:70万4,000台(-7.6%)
と見込んでいるのです。韓国内で対前年比「-7.6%」というのは、いかにも渋いですが、現実的な判断だといえるでしょう。
(吉田ハンチング@dcp)