韓国では、2024年04月10日に投開票の一大決戦、「第22代国会議員総選挙」が近づいています。
こういうとき行うのは「ばらまき」の約束です。皆さん実弾をまく公約で票を買おうとします。
韓国政府もこれを行っておりまして、2024年02月08日、尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領も中小企業や小商工人を手厚く保護するとして、支援の公約を披露しました。
韓国の場合には自営業者の皆さんが多く、読者の皆さんもご存じかもしれませんが「チキン屋 or die」などと揶揄の言葉が聞かれたほどです(現在もそれは色濃く残っています)。
そのため、自営業者の皆さんに手厚い支援を行うことは、社会的な安定に繋がりますし、いやらしい言い方をすれば票も買えるわけです。
この日、尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領は次のように述べています。
(前略)
大統領候補時代、私の第1号公約が小商工人、自営業者を救うことでした。政府発足後も、大統領選挙公約を守るために、小商工人と自営業者に対するコロナ禍による営業制限損失補償と再起支援に50兆ウォンという巨額の財政を投入したことがあります。
(中略)
まず、高物価、高金利で増えた利息、税金、公共料金の負担を軽減します。
金融界と協力して、自営業者と小商工人228万人に1人当たり平均約100万ウォン、計2兆4,000億ウォンの利息を還付します。
また、高金利の融資を受けた小商工人、自営業者は、低金利の融資に乗り換えることができるよう、窓口相談を通じて支援します。
また、簡易課税者の基準を年間売上高8,000万ウォンから1億400万ウォンに大幅に引き上げ、税負担を軽減します。
これは法律の改正なしに政府が大統領令だけでできる最大値です。
今後もこの部分は法改正を通じて、自営業者の付加価値税(消費税)負担をさらに軽減していきます。
また、今年126万人の小商工人に20万ウォンまで電気代を減免する予定です。
(後略)
まず、「債務の利子払い」の還付です。
これはまあ一種の徳政令です。コロナ禍、不景気で債務を増やした自営業者の皆さんが、これまで支払ってきた「利払い」を還付してあげましょう――です。
1人当たり平均約100万ウォン(ざっくり1/10で約10万円)なのですが、「合計2兆4,000億ウォンの利息を還付」ですから、かなりの額です。
ただ、政府にとっていいのは、財源を用意する必要が全くないことです。この還付金は金融機関が自営業者の皆さんに払い戻しするからです。
うまい手を考えました。
次の簡易課税基準の適用引き上げもいい手です。消費税の支払いについて知識のある方なら、やるなあと思われるでしょう。適用基準を「8,000万ウォンから1億400万ウォンに引き上げる」と、消費税負担を減らせる個人事業主が増えます。
これは個人事業主の皆さんから支持される施策といえます。
しかも、これまた財源を用意する必要がありません。かつ、大統領令で実施できるので、尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領への支持を高める効果が期待できます。
電気代の減免もいいですね。韓国では「バカをやって文在寅政権」のツケで電気代を上げなければならなくなっています。個人事業主の皆さんには助かる話でしょう。
しかも、対応するのは『韓国電力公社』です。
「公社」で「中央政府とは別」という建て付けになっているので、減免分の売上が減って困るフロントは『韓国電力』なのです。「韓電は総選挙後に困ってくれ」ということなのでしょう。
他にも、企画財政部や産業通商資源部など、いろいろ「ばらまき」のために動いています。こういうことができるのは、政権を握っているからです。
最大野党『共に民主党』からすると「ぐぬぬ……」でしょう。
面白くなってきました。
(吉田ハンチング@dcp)