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韓国議員「インバースに張ればいいじゃないか」それ本当に韓国民に勧めるの?

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韓国最大野党『共に民主党』の議員から弩級の発言が出ました。韓国メディアでは違う意味で盛り上がっています。

何があったのかというと――現在、韓国の国会では金融投資所得税(韓国では「金投税」と略します)について議論がされています。

「(アメリカ合衆国株式市場との)デカップリングが進む状況で、(税収が)不確実である金投税を導入するのは合理的か」という主旨の質問を受けて、キム・ヨンファン議員は次のように答えました。

「株価に関連して、他に影響を与える変数がないか確認してほしい」

「もし本当に(株式株式市場が)下落すると信じているのであれば、インバースに投資すればいいのではないか。先物のプット(オプション)を取ればいいではないか」

株価が下落するならインバースなどのデリバティブ(金融派生商品)に投資することで対応できるとしたのです。

よくまあこんな簡単に「インバースに投資しろ」なんて言えるものです。「インバース」というのは、ターゲットの指標に対して逆に動くように生成された金融商品です。指標が下げるなら、逆に利益が上がるように設計されています。

韓国の皆さんの斜め上の反応

韓国メディアは違う方向で議員の発言に反発しています。本件を報じた『朝鮮日報』は以下のように書いてます。

(前略)
インバース投資は株価が下落するほど利益を得られる「逆投資」の一種であり、この発言を受けたネットユーザーたちは「国が滅びそうなら売れということか」や「共にインバース党か」といった猛烈な非難を浴びせました。

一部のネットユーザーは、共に民主党の「インバース投資」の推奨が「売国行為の賭け」と変わらないとし、「独立運動家は下落する祖国を守ろうとして破産し、親日派は国が衰退する兆しを見てすぐに手を引いて他の選択肢(日本)に乗り換えた機会主義者だ。共に民主党は株式市場で親日派のように行動しろと言っているのか」と批判しました。

国民の力の代表、ハン・ドンフンも自身のフェイスブックでキム議員の発言を引用し、「共に民主党は韓国にインバース投資をしろと言っているのか」と非難しました。
(後略)

⇒参照・引用元:『朝鮮日報』「野 김영환 “인버스 투자해라” 개미들 “매국 베팅하란 거냐」

皆さん――韓国の若大将、韓東勳(ハン・ドンフン)『国民の力』代表まで――が、斜め上の反応を見せました。「そこじゃないだろ」と言う他ありません。

「政治的でないものなど何もない」韓国らしいといえばそれまでですが、市場が右肩下がりならインバースに資金投入したらどうだ?という意見は別に間違いではありません。投資の手法としてはアリです。

しかし――問題はそれが簡単に行えるものではない――という点です。

チャートの結果だけ見ていると「ここで買ってここで売ればいいじゃん」、あるいは「ここで空売りしてここで買い戻せばいいじゃん」――などと売買が簡単に思えるものです。

しかし、現実にチャートが動いているときにそれを行うのはとても難しいことなのです。

恐らくこの議員は空売りを行ったこともなければ、実際にインバースの金融商品に投資したこともないでしょう。チャートの右肩下がりに張るというのは相当に勇気のいることで、耐えるだけの胆力が求められるものなのです。

なぜかというと、通常株式チャートというのは右肩上がりなものだからです。そのため、瞬間的に下落したり、短期的に株価が低迷したりしても、時間を置けば右肩上がりで取り戻すことが期待できます。

5年前になりますが、任天堂の信用取引(買いで入った)を行った後株価が低迷、もう駄目だ、損切だと覚悟していた佐藤ボイラーくんが、貸し株の期限ギリギリ前日に株価が戻してセーフ! ということがありました(なんと72万3,260円のプラスだった)。

ド素人の佐藤くんの大逆転劇でしたが、なぜこんなことが可能かというと――株式投資というのは基本、時間を味方にするもので、それはチャートが右肩上がりであることを信用できるから――です

韓国市場のことはいっていません。

しかし、インバースというのは「右肩下がり」を信じて資金を投入するものです。

そのため、短期的な下げトレンドを負うことにしか基本使えません。

いつ戻るのか、いつ右肩上がりの上昇トレンドに回帰するのかビクビクしながら監視する必要があるのです。よほどの確信がなければ空売りですらド素人には難しい――というのが本当のところです。簡単にいえばリスクが高いのです。

キム議員の「インバースに投資すりゃいいじゃん」は実際に株式投資を行ったことのない人間の御託宣としか受け取れません。

「韓国の下げに張れというのか」とか「親日的な……」とか、そういう政治的な話ではなく、インバースに張れとかよくそんなことが簡単にいえるな――というのがチャート屋が本業の人間からのツッコミどころです。

(吉田ハンチング@dcp)

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