中国当局は「対韓国の貿易赤字が2倍になった」と言う。韓国政府の発表と全然合わない!

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2024年11月07日、中国の海関総署(関税庁)は「前10个月我国货物贸易进出口增长5.2%」(今年初めから10月までの期間において、我が国の貨物貿易の輸出入は5.2%増加しました。)というプレスリリースを出しました。

非常に興味深い内容なのですが、まず1点だけ。

プレスリリース中の以下の部分をご覧ください。「ASEAN、EU、米国、韓国への輸出入の増加」という部分です。


↑黄色のマーカーが韓国について言及している部分。

2. ASEAN、EU、米国、韓国への輸出入の増加

今年初めから10月までで、ASEANは中国にとって最大の貿易相手国となり、貿易総額は5.67兆元で、8.8%の増加を記録し、中国の対外貿易総額の15.7%を占めた。

そのうち、ASEAN向け輸出は3.36兆元で12.5%増加し、ASEANからの輸入は2.31兆元で3.8%増加した。

ASEANとの貿易黒字は1.05兆元で、38.2%拡大している。

EUは中国にとって2番目の貿易相手国であり、貿易総額は4.64兆元、1.2%の増加で、対外貿易総額の12.9%を占めた。

そのうち、EU向け輸出は3.04兆元で3.5%増加し、EUからの輸入は1.6兆元で2.9%減少しました。

EUとの貿易黒字は1.44兆元で、11.6%拡大している。

米国は中国にとって3番目の貿易相手国であり、貿易総額は4.01兆元で4.4%の増加となり、対外貿易総額の11.1%を占めた。

そのうち、米国向け輸出は3.04兆元で4.9%増加し、米国からの輸入は9,694.8億元で2.9%増加した。

米国との貿易黒字は2.07兆元で5.8%拡大している。

韓国は中国にとって4番目の貿易相手国であり、貿易総額は1.91兆元で6.7%の増加となり、対外貿易総額の5.3%を占めた。

そのうち、韓国向け輸出は8,556.7億元で0.8%減少し、韓国からの輸入は1.05兆元で13.8%増加した。

韓国との貿易赤字は1,987.4億元で2.1倍に拡大してる。

同期間において、中国は「一帯一路」参加国への輸出入合計が16.94兆元に達し、6.2%増加しました。そのうち、輸出は9.48兆元で8%増加し、輸入は7.46兆元で3.9%増加しました。

⇒参照・引用元:『中国 海関総署』公式サイト「前10个月我国货物贸易进出口增长5.2%」

海関総署が「韓国との貿易で中国は赤字である」と明言しました。また、「2024年01~10月は累計で貿易赤字が1,987.4億元で2.1倍に拡大した」と述べています。

Money1でもご紹介しているとおり、この言説は韓国政府の発表とはまるで合いません。真逆です。

韓国の関税庁が公表している、通関ベースのデータでは、2024年10月末時点では、以下のようになっています。

2024年10月時点「対中国輸出」

↑黄色のマーカーが対中国輸出の金額です。10月は「121億9,600万ドル」。

2024年10月時点「対中国輸入」

↑黄色のマーカーが対中国輸入の金額です。10月は「125億1,500万ドル」。

2024年10月 韓国の対中国貿易
輸出:121億9,600万ドル+10.9%
輸入:125億1,500万ドル-0.3%
貿易収支(輸出 – 輸入):-3億1,900万ドル

2024年01~10月累計 韓国の対中貿易
輸出:1,100億6,900万ドル
輸入:1,160億1,100万ドル
貿易収支(輸出 – 輸入):-59億4,200万ドル

( )内は対前年同期比の増減
⇒参照・引用元:『韓国 関税庁』公式サイト「’24年10月の輸出入状況」

中国の海関総署は、韓国との貿易で「2024年01~10月累計は-1,987.4億元-276.8億ドル」と主張していますが、

韓国の関税庁は、中国との貿易で「2024年01~10月累計は-59億4,200万ドル」となっています。

元ドルの換算は2024年11月10日の「1元 = 0.14ドル」で行いました。

お互いに「相手国との貿易では赤字だ」――といっています。数字が合わないどころか、赤黒が合いません。

また、中国の海関総署は「韓国との貿易赤字が2.1倍になった」と主張していますが、これも合いません。

韓国の関税庁のデータによれば、2023年01~10月の貿易収支は「-172.7億ドル」です。

01~10月累計貿易収支(韓国の対中貿易収支)
2023年:-172.7億ドル
2024年:-58.4億ドル

中国の貿易収支はこれの裏返しのはずですから、2023年01~10月は「+172.7億ドル」、2024年01~10月は「+58.4億ドル」になっていないとおかしいでしょう(細かい数字は合わないとしても)。

ですので、中国からすれば「対韓国貿易収支」の黒字幅は縮小しているなら分かりますがが、「赤字幅が2.1倍になった」というのはとても信じられません。

相手国があるから、輸出入および貿易収支のデータは最もごまかしにくいといわれますが、中国の主張は本当に正しいでしょうか。

(吉田ハンチング@dcp)

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