韓国『POSCO』浦項工場また火事。自慢のFINEX工場が停止

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2024年11月10日04:20頃、韓国『POSCO(ポスコ)』の浦項製鉄所で火事がありました。


↑夜明け前から燃え出し、夜目にも鮮やかな大火となりました。


↑夜が明けてみるとこのような大火であることがハッキリしました。

火災発生から約5時間後に消し止められましたが、同工場の第3FINEX工場は火災のために操業停止となりました。


↑消防隊員が火事があったプラントを点検しています。

FINEX炉というのは、『ポスコ』自慢の施設です。

従来の製鉄方法(高炉法)では、鉄鉱石を塊状やペレット状に加工し、さらにコークス炉で石炭をコークスに加工する必要がありますが、FINEXプロセスではこうした予備処理を省略できます。代わりに、粉末状の鉄鉱石と粉状の石炭(粉炭)をそのまま使用して、直接溶銑(液体の鉄)を生産します。

このFINEXプロセスを使うと、鉄の生産に以下のようなメリットが得られます。

コスト削減
高炉で必要とされるコークス炉や焼結設備が不要なため、設備や運用コストが低減されます。

環境負荷の軽減
コークス炉を使用しないため、二酸化炭素や硫黄化合物などの排出が少なく、より環境に優しい製鉄方法とされています。

資源の効率利用
粉末状の鉄鉱石や粉炭は比較的安価で調達でき、コストを抑えながら効率よく生産できます。

火事にあった第3FINEX工場は2014年に稼働しており、年間の溶銑生産量は200万トン。ちなみにFINEX炉の副生ガスを有効活用して、製鉄所内で必要な電力の一部を賄うためのGTCC発電設備は、日本の『三菱重工』製です。

浦項製鉄所には、

第2高炉(年間213万トン)
第3高炉(年間488万トン)
第4高炉(年間530万トン)
第2FINEX工場(年間150万トン)
第3FINEX工場(年間200万トン)

と5つの溶銑を生産する施設を有しています。

今回止まったのは第3FINEX工場ですが、『ポスコ』によれば「浦項製鉄所の第2・第3・第4高炉の稼働率を上げて対応できるため、鉄鋼生産には支障がない」とのこと。

韓国メディアは1週間程度で普及するだろう……という見通しを報道しているのですが、点検だけでももっとかかるのではないでしょうか。

ちなみに浦項製鉄所は2022年以降に、以下のような火事などが発生しています。

2022年09月06日
台風11号による豪雨と近隣河川の氾濫で工場が浸水し、49年ぶりに高炉3基の稼働が停止。135日後に正常化。

2023年04月18日
第3高炉付近の付帯設備であるCOG(コークスオーブンガス)昇圧装置で火災発生。

2023年04月27日
第3FINEX工場付近の原料搬送用コンベヤーベルトで火災が発生し、2,000万ウォンの被害。

2023年12月21日
原料貯蔵庫である高さ60メートルのサイロ内の鉄鉱石搬送用コンベヤーベルトで火災が発生し、約2時間で鎮火。

2023年12月23日

第2高炉周辺で火災が発生し、停電により工場稼働が一時停止。

2024年02月15日
石炭搬送施設で火災が発生し、約3時間で鎮火。

2024年11月10日 ←今ココ
第3ファイネックス工場のタワーで爆発と共に火災が発生。作業員1名が2度の火傷を負い、工場の稼働に支障が発生。

けっこうな火事に見舞われていますが、製鉄所というのはこれほど頻繁に火災が発生するものなのでしょうか。

(吉田ハンチング@dcp)

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