「韓国にはお金がないのでは?」には理由がある。「外国への投資」ほぼ9割が蒸発した!etc

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韓国の国際収支統計にいきます。

『韓国銀行』から2024年10月時点のデータが公表されましたが、これがなかなか興味深い内容です。先に経常収支の方をご紹介しましたが、先記事でも述べたとおり経常収支の方はあまり面白くありません。

韓国メディアは「やった! 経常収支が約97.8億黒字だ」ぐらいでしょうが、さあそんなこと言ってる場合なのかね――なのです。

外国への投資がほぼ9割も減った!

まず金融収支の「直接投資」です。以下が、直接投資の「資産の部」の当月の結果です。

この資産の部は、韓国から外国への直接投資がいくらあったのかが計上されます。

正確には韓国から外国への投資で「外国における資産」が幾ら増えたのか――を示しています。

しかし、上掲のとおり、10月はたったの「2億8,240万ドル」しかありません。

はっきり言ってこれは異常な数字です。

コロナ禍が経済を直撃した2020年05月に「4,160万ドル」という1億ドルも切った、まさに「なんだこりゃ」という数字がありますが、それ以来の異常さです。

2020年03月には、世界的なドル不足が発生し、韓国もドボン寸前でした。03月に『FRB』(Federal Reserve Boardの略:連邦準備制度理事会)が急遽締結してくれたドル流動性スワップ(韓国側の呼称は通貨スワップ)でなんとか助かったことを思い出してください。

2024年の「金融収支・直接投資 ⇒ 資産の部」の推移をグラフにすると以下のようになります。

2024年10月の「2億8,240万ドル」がいかに少なく、異常値であるかがお分かりいただけるでしょう。

前月すなわち09月と比較して「約-88.6%」という結果です。韓国の外国への直接投資は、実にほぼ9割が減少したのです。

聞きたいのは「あんたら、ひょっとしてお金ないんじゃないの?」――です。

証券投資も激減した!

次に金融投資の「証券投資」の項目を見てみましょう。証券投資はその名前のとおり、株式・債券に幾ら資金を投じたのか、その収支を示す項目です。

「韓国から外国への投資」の方が「外国から韓国への投資」より大きければプラス(黒字)になります

その分、韓国が「外国の有価証券の資産」を増やしたことを示す。

以下が2024年01~10月の推移です。

05月から09月まで順調な黒字だったのに、10月に突然「証券投資(の収支)」が「17.2億ドル」まで減少しました。これは対前月比で「約-80.5%」の激減です。

これは収支なので、

「韓国 ⇒ 外国(資産増)」と「外国 ⇒ 韓国(負債増)」

の±で計算されます。10月の証券投資を分解すると以下のようになります。

2024年10月 証券投資
資産の部(韓国 ⇒ 外国):29億1,300万ドル
負債の部(外国 ⇒ 韓国):11億9,580万ドル
収支(資産 – 負債):17億1,720万ドル

韓国 ⇒ 外国の証券投資がたったの「29億1,300万ドル」しかありません。2024年の01~10月の証券投資・資産の部の推移は以下のようになります。

くどいですが、これは資産の部なので、韓国から外国の証券市場に投じられた資金を示しています(その分の資産が増えたことを示しています)。10月は上掲のとおり激減しました。

対前月(09月比)で「約-61.2%」です。

韓国から外国証券市場への資金投入が6割も減ったのです。

――なので、やはりこう問わなければなりません――「あんたら、ひょっとしてお金ないんじゃないの?」。

もうひとつ証券投資では面白いデータがあります。Money1で散々いってきたことですが、外国人が韓国への資金投入を抑えています。いや、それどころか株式市場においては資金を抜いています。

これは証券投資の「負債の部」の「Equity securities of P.I., Liabilities」に表れます。以下が2024年01~10月の推移です。

外国から韓国に資金を投じて、(外国が保有する)韓国株式資産がどのくらい増えたのかを示すデータですが、07月まではプラスです。

その分、(外国が保有する)韓国株式資産が増えたわけです。ところが、07月からマイナスに転落して、これで3カ月連続のマイナスです。

何を意味しているかというと、保有していた韓国株式をその分売却して、市場から抜いた――のです。

この直近3カ月累計で「-101億8,530万ドル」になります。外国人の皆さんがお金を入れてくれなくなっているわけですが、やっぱり「あんたら、ひょっとしてお金ないんじゃないの?」――と聞きたいですね。

10月は外国が韓国から「76.6億ドル」も引き上げた!

まだあります。金融収支の「その他投資」です。この「その他投資」には「融資」の収支が計上されます。外国にお金を貸したり、外国からお金を借りたり――の勘定科目です。

まず以下をご覧ください。

「その他投資」は、マイナスの方が多いですね。10月前の09月までは、5カ月がマイナス(赤字)で、4カ月が黒字です。

まずこれが問題です。「収支」ですから「資産 - 負債」で求めます。

その他投資は、

・融資によって外国にお金を貸し込んだ額が「資産の部」に、
・外国から韓国が借りた額が「負債の部」に

計上されます。マイナスになるということは、韓国が外国から借りた金額の方が多いということです。

――ですのでマイナスが目立つとなれば、韓国が外国からお金を借り倒していることを示しています。

さらに当月が注目なのは、なぜかその他投資が突然、「146.7億ドル」もプラスになっていることです。これは明らかな異常値です。

なぜこうなったのか、同じように「資産の部」と「負債の部」に分解してみましょう。

2024年10月 その他投資(融資)
資産の部(韓国が外国に貸したお金):70億960万ドル
負債の部(外国が韓国に貸したお金):-76億6,150万ドル
収支(資産 – 負債):146億7,110万ドル

当月は「韓国が外国に貸したお金:資産」が「70億960万ドル」もあります。「融資したねえ」なのですが、こちらはともかく,「外国が韓国に貸したお金:負債」がなんと「-76億6,150万ドル」もあるのです。

これは、つまり外国が韓国に貸していたお金76.6億ドルを引き上げた(だからその分外国の資産 = 韓国にとっての負債が減少する)ことを意味しています。

一気に「76億6,150万ドル」ですから、これは韓国にとって大きな金額です。

だからやっぱり、「あんたら、ひょっとしてお金ないんじゃないの?」と聞きたくなるわけです。

(吉田ハンチング@dcp)

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