アメリカ合衆国『The New York Times』紙が面白い記事を出しており、これを中国語メディアも取り上げています。
パンダを保護するためにアメリカ合衆国の動物園が支払ったお金が行方不明――というのです。
中国の「パンダレンタル事業」
そもそも中国はパンダを外国の動物園にレンタルするという事業を行っています。中国側では「有功の証に」などと言っていますが、きっちりレンタル代金を取るので、これは商売です。
中国は、外国の動物園にジャイアントパンダを「貸し出す」形で契約を結びます。
年間レンタル料として約100万ドル(約1億5,000万円)を請求することが一般的といわれています。
中国から貸し出されたパンダが海外で繁殖して生まれた場合、その子どもの所有権も中国に帰属します。子パンダが2〜3歳になると中国に返還されるのがルールです。要は外国の動物園に世話させて、赤ちゃんができたら返せというのですが、繁殖も外国にやらせている――と捉えることが可能です。
かつて東京都知事だった石原閣下が「(パンダなんか)いらねーよ」と言ったことがあります。
「パンダを保護するために使う資金」一部が行方不明
今回『NYタイムズ』が報じているのは――、
過去20年間、合衆国は中国にパンダのレンタル代金として少なくとも8,600万ドルを支払った。
この資金は野生のジャイアントパンダを保護するために使われることが規定されている(動物園が資金提供するプロジェクトは事前に承認を得ており、動物園が提出する年次報告に記載されている)。
しかし記録によれば、一部の何百万ドルもの資金が、自然保護区から離れた場所でのアパート建設に使われ、中国地方政府の事務所用にコンピュータや衛星テレビが購入されたり、少なくとも3つの博物館建設に使われたりしていた。
また、中国側は詳細な支出について長年にわたり説明を拒否している。
アメリカの魚類・野生動物管理局(FWS)は、この資金の監視を20年間行っており、アメリカの動物園管理者や中国当局に懸念を繰り返し提起してきた。記録によれば、アメリカ政府は記録の不完全さを理由に、中国への支払いを三度凍結したことがある。
この資金の不透明な流れは、合衆国の動物園も認識していた。
しかし資金提供を停止すると、中国がパンダを返還するよう求めてくる可能性があるとして、強い動きには出られなかった。
記録や元関係者の証言によれば、最終的に監督機関は資金の支払いを許可し、中国の支出について詳細に検査しないことに同意していた。
――という調査結果です。
同紙は、国立動物園やサンディエゴ動物園、中国の関係機関に問い合わせましたが、回答は得られなかった――とのこと。
パンダをだしにして得た資金を、パンダの保護に使わずよそに転用していたようです。中国というのは、こういう国です。
(吉田ハンチング@dcp)