2023年12月07日、欧州委員会のウルスラ・ファン・デル・ライエン委員長が訪中し、習近平総書記と会談を行いました。長くなりますので、その内容については別記事にいたしますが、傑作なのは中国の態度です。
アメリカ合衆国との対立は深まるばかりで、中国に対しては欧州も懸念を表明しています。外国資本は中国を忌避して投資せず、中国から資金が抜ける事態となっています。
中国共産党と習近平が経済の全てをコントロールしてやるという非合理なシステムな上、自由主義陣営国から技術を剽窃できず、資金が入らなくて抜けるばかり――となれば中国経済は傾きます。
もちろんすでに傾いています。
そのため習近平自ら、また商務部や外交部が必死になって「中国よいとこ、投資すべき」と大声を張り上げていますが、そんなプロパガンダに騙されてお金を失いたいバカはいません。
全般状況がこのようなものなので、今回の欧州委員会-中国の会合は中国にとって非常に重要なものでした。合衆国と欧州を分断せしめて、欧州からお金を引き出す言質を取らなければなりませんでした。
しかるに、習近平さんの発言を見ると「歴史的経験を総括し、世界の潮流を把握し、包括的戦略パートナーシップの正しい位置づけを堅持すべき」「政治的基礎を強化し、戦略的観点から互いを見ることを主張し、首脳会談と5つのハイレベル対話で主導的役割を果たし、戦略的コミュニケーションを強化し、建設的対話を通じて理解を深め、相違を解決すべき」と、「あんたはこうすべき」と論じています。
まるで説教です。韓国の外交部も似たようなもので、中韓の外交というのは相手国に対する説教に満ちており、要は「オレの言うことをきけ」なのです。
これは、国際的な外交を今でも華夷秩序に基づいて行っているからだ――と考えてもいいと思われます。以下に古田先生のご指摘を引用してみます。
(前略)
何を言いたいのかといえば、古代の東洋で通例であった礼というのは、今で言えば外交の作法のようなものであり、その背後には対立、襲撃、臣下の告げ口、王のお叱り(実は牽制)等があったということである。要するに東洋の国際関係とは、王国内の王と臣下たちの日々の関係を、東洋全体の国同士の関係にまで拡張したものなのである。
そこに忠貞の濃淡を設けて格付けした。
これをテクニカルタームで「華夷秩序」と呼んでいる。
(後略)⇒参照・引用元:『統一朝鮮は日本の災い』著:古田博司,飛鳥新社,2008年09月25日 第1刷発行,p44
※強調文字は引用者による。原著では強調文字部分はルビになっています。
中国の外交を「王国内の王と臣下たちの日々の関係を、東洋全体の国同士の関係にまで拡張したもの」と捉えると、ド偉そうな態度が理解できるのではないでしょうか。つまり、他の国を「臣下」だと考えているのです。
次に韓国。朝鮮半島は中国の属国であり続けました。中国から切り離され、中国の影響を遮断して暮らすことができたのは、日本が併合したおかげです。このとき、歴史上初めて朝鮮は中国を下に見ることができました。朝鮮半島の人が日本国民になり、その日本は日清戦争に勝利した国だったからです。
日本併合前の李氏朝鮮はどのような外交を行っていたかというと、うちは明から最も高く評価されている国(それも自称)だということが唯一の自慢で、それを基に他の国を見下していました。
簡単にいえば、虎の威を借る狐ですが、その駄目さ加減は外国から見れば実に滑稽です。
同じく古田先生のご指摘を以下に引いてみます。
(前略)
李朝は、勿論シナの[礼]に潜んだ策略を冷静に悟っていた。「蛮夷に蛮夷を攻めさせるのは、中国の勢いであり、すなわち今日の中国の謀だ」(世祖実録、世祖2年(1456年)2月28日条、世祖の朝議での発言)。
だが、満州族との衝突の種は、いつも朝鮮側だった。
1491年には、渡河して殺害事件を起こし、復讐戦を仕掛けられると、満州族に書を送って脅した。
「堂々の大国が、どうして座して侮辱を受けるだろうか」(成宗実録、成宗22年(1491年)7月15日条、成宗の書簡)と、まるで大国気分だったが、逆効果で、猛烈な満州族の侵攻を招いた。
[大国気分]というのが、コリアの周辺国に対するスタンスであり、他方、周辺国のコリアに対するスタンスは[嘲笑]である。
(後略)⇒参照・引用元:『統一朝鮮は日本の災い』著:古田博司,飛鳥新社,2008年09月25日 第1刷発行,p45
※強調文字、赤アンダーラインは引用者による。
15世紀の話――「大国気分」で満州族を蛮夷と侮り、精神勝利していた李氏朝鮮が、満州族に対していかにド偉そうな外交を行っていたか、そして侵攻されたか――なのですが、現在とどこが違うの?と思われないでしょうか。
違いません。
「衝突の種がいつの朝鮮側にある」という点も同じなら――「自身の大国気分」による朝鮮の威丈高な態度と、それに対する「周辺国の嘲笑」という構図も――全く同じです。
古田先生のご指摘はいつもながら実に的確です。
つまり、中国と韓国は現在でも古代~中世の外交を行っているのです。両国とも国際法をちっとも守りませんが、これも「臣下が作った法を守る必要などあろうか」という姿勢の現れと見るべきなのかもしれません。
合衆国、欧州、日本などの自由主義陣営国だけでなく、世界中の国が言うでしょう――「お前の臣下になんぞ、なった覚えはない」と。
日本の斜め上方向には「いまだに古代~中世をやっている“時間軸のずれた国”」があるというわけです。
まともなお付き合いなどできるでしょうか。だからこそ日本は中韓と距離を置くべきなのです。
(吉田ハンチング@dcp)