「バイバイ韓国」。米国が「戦時作戦統制権の返還」を提起。

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2025年07月10日、韓国李在明(イ・ジェミョン)政権で初の国家安全保障会議(NSC)が開催されました。

国家安全保障会議(NSC)全体会議に関するカン・ユジョン報道官ブリーフィング

2025年7月10日

本日午後、李在明(イ・ジェミョン)大統領が主宰する初の国家安全保障会議(NSC)全体会議が開催されました。本日の会議では、今年後半に予想される主要な安全保障上の懸案を事前に検討し、それに対する対応方策について議論しました。

李在明(イ・ジェミョン)大統領は冒頭発言で、政府発足から約40日ぶりに初めて国家安全保障会議が開催されたことに言及し、「国家安全保障は常に事後対応よりも事前予防が重要である」と述べました。また、「激しく変動する国際秩序の変化はもちろん、国内の政治状況や朝鮮半島という特殊性を反映した北朝鮮要因も総合的に検討すべきだ」と強調しました。

さらに、「安保が揺らげば経済も崩れ、私たちの生活も安全ではいられない」と述べ、国民の暮らしを安全に守るために、共に知恵を集めてほしいと訴えました。

関係省庁すべてが一つの心で、国家の利益を最優先にし、平和・実用・国民の安全に専念しなければならないと強調しました。

また、「断絶された南北関係の回復に努めなければならない」とし、「南北間の平和共存が我々の安全保障のための最も現実的かつ実用的な選択肢である」と付け加えました。

2025年07月10日
大統領室報道官 カン・ユジョン

⇒参照・引用元:『韓国 大統領室』公式サイト「국가안전보장회의(NSC) 전체회의 관련 강유정 대변인 브리핑」

李在明(イ・ジェミョン)さんは「北朝鮮要因も総合的に検討すべきだ」と述べています。これはどういう意味でしょうか。

注目すべき点は――先日アメリカ合衆国に魏聖洛(ウィ・ソンラク)安保室長が派遣された際に、合衆国側から「戦時作戦統制権(Operational Control:OPCON)」について提起された――という報道が出ている点です。

「戦時作戦統制権の返還」問題とは何か?

これは韓国における重要なポイントです。「OPCON」は特定の軍部隊に対して、その部隊の運用・任務・展開などを指揮・統制する権限を指します。

1950年に起こった朝鮮戦争によって、当時の李承晩大統領が国連軍司令部(=米軍)に作戦統制権を全面的に委譲しました。

2025年現在はどうなっているかというと、

平時は韓国軍が作戦統制権(OPCON)を保有
戦時は在韓米軍(米軍司令官)がOPCONを保持

――となっています。つまり、有事には韓国軍は在韓米軍の指揮下に入って戦うことになります。独自の動きは許されないのです。

自国軍を自国で指揮できないのは「軍事主権の欠如」だと考えられますので、OPCONを返還してもらう(これがいわゆる「戦時作戦統制権の返還問題」)――という声が韓国内でたかまり、その議論は2003年頃、盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権時にまでさかのぼります。

「戦時作戦統制権の返還問題」を時系列は以下のようになります。

年代 政権 主な動き・状況
2003年頃 盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権 初めて「戦時作戦統制権の返還」を本格議題化。「自主国防」を掲げる。
2007年 盧武鉉政権末期 米韓両国が「2012年の戦時OPCON返還」で合意。
2008~2013年 李明博(イ・ミョンバク)政権 北朝鮮の挑発(天安艦事件など)で延期提案、2015年に再延期。
2013~2017年 朴槿恵(パク・クネ)政権 北の核開発・安保不安により、OPCON返還の無期限延期を米側と合意(2014年)。実質的に凍結。以降「条件付き移譲」へ転換。
2017~2022年 文在寅政権 再び返還推進を表明。2022年返還目標としたが未達。「条件付き返還」(韓国軍の能力整備)を重視。
2022年~現在(2025年) 李在明(イ・ジェミョン)政権 トランプ再登場により不透明性増大。

上掲のとおり、戦時統制権を韓国に返還する問題は「自主国防」の大義名分の下に盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権時に提起されたものの、韓国軍だけで防衛できるのか?と不安視され、その都度、延期などが行われてきたのです。

朝鮮戦争時には、国連軍(実質は米軍)のおかげで北朝鮮軍(および中国軍)を押し返せたわけなので自軍の能力について疑問を抱いても不思議ではありません。

単独で外国の軍隊に勝った(あるいは外国の軍隊から防衛できた)ことなど一度もないのが朝鮮半島です。その意味では哀れな国ですが、だからこそ都度都度、朝貢国や属国になって生き延びきたのです。

合衆国は韓国から手を引きたい

そのため訪米した魏聖洛(ウィ・ソンラク)安保室長に対して合衆国側が、「戦時作戦統制権の返還」問題について提起した――というのは非常に注目されます。

何度もご紹介していますが、トランプ大統領は「朝鮮半島から米軍を撤退したい」のが本音です。

先にご紹介したとおり、安全保障補佐官になったコルビーさんは「合衆国は対中国にリソースを集中すべき」という主張をする人で、実際トランプ政権はその方向で動いています。

「戦時作戦統制権」が実際に返還されるのであれば、これは韓国にとっては画期的なことです。また、李在明(イ・ジェミョン)さんにとっても重要なエポックになります。

なぜなら、李在明(イ・ジェミョン)さんは2021年の大統領選挙直前には――、

전 세계에서 독립 주권국가가 군사작전권을 다른 나라에 맡기고 있는 예가 없지 않느냐”며 “최대한 신속하게 환수해야 한다
(全世界で独立主権国家が作戦権を他国に任せている例はなく、できるだけ迅速に取り戻すべきだ)

――と述べていたからです。

もちろん有事に韓国軍が米軍の指揮下に入らずに自主防衛できるのであれば、戦時作戦統制権を返還してもらっても問題はないでしょう。

そもそも李在明(イ・ジェミョン)さん自身も主張していたことです。

米韓局長級会談「同盟を互恵的に近代化していくための方策」

国家安全保障会議(NSC)が開催されましたが、同時に米韓の局長級会談が行われていたました。

以下は韓国の外交部が出したプレスリリースです。

米韓同盟協議 共同記者発表文

米韓双方は、2025年07月10日から7月11日までソウルにおいて、ホン・ジピョ大韓民国外交部北米局長およびケビン・キム米国国務省次官補代理をそれぞれの首席代表とし、両国の外交および国防分野の主要ポスト関係者が出席する局長級協議を開催した。

双方は、韓米同盟を未来型包括的戦略同盟として強化し、変化する地域の安全保障環境の中で、同盟を互恵的に近代化していくための方策について議論した。

以上。

ここで言及されている「同盟を互恵的に近代化していくための方策」とは何を意味しているでしょうか。

(吉田ハンチング@dcp)

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