2022年07月24日、韓国メディア『朝鮮日報』が面白い記事を出しています。
中国もこれにハマった
というのです。
『朝鮮日報』から説明部分を引いてみると、以下のようになります。
(前略)
天文学的費用が入る超高層ビルの建設は、主に不動産バブル機に推進されるが、実際に建築が本格化したり完工した時にはバブルが消えて経済不況を迎えるというのが「超高層の呪い」だ。超高層建物は資材費、建築費が大きく、空間活用が難しく、運営費が多く掛かって事業性が落ちる。
事業性を考慮せずプロジェクトが推進されるのは、好況が続くだろうという無限の楽観論を背景に、企業や国家が「威勢誇示型」で事業を推進するからだ。
超高層ビルは、天文学的な金額がかかって維持運営費も高くて採算性は薄い。にもかかわらず推進されるのは「見栄」のせいだ、としています。
(よせばいいのに)バブルの勢いで推進するのですが、実際に建築にかかったり、完成したときには好景気が終了しており、「どうすんだコレ」という事態になってしまう――これが「超高層の呪い」です。
もともとは『Dresdner Kleinwort Wasserstein』の不動産アナリストであったAndrew Lawrence(アンドリュー・ロレンス)さんが提唱したコンセプトです。
で、『朝鮮日報』に最新の例として挙げているのが、あの中国『恒大集団』が予定していた『恒大国際ファイナンシャルセンター』です(以下が完成予想図)。
『恒大集団』は、中国安徽省河北市に高さ518メートル、128階の超高層ビルを建てようとしていましたが、事実上の破産状態ですので、プロジェクトは頓挫しています。
これまでの「超高層の呪い」の例を見てみると……。
●アメリカ合衆国「エンパイア・ステート・ビルディング」
建設期間:1929年~1931年
1929年:世界恐慌
●アメリカ合衆国「ワールドトレードセンター」
建設期間:1966年~1973年
1973年:第1次オイルショック
●マレーシア「ペトロナス・ツインタワー」
建築期間:1992年~1998年
1997年:アジア通貨危機
●台湾「台北101」
建築期間:1998年~2004年
2001年:ITバブル崩壊
●UAE「ブルジュ・ハリファ」
建築期間:2004年~2010年
2008年:リーマンショック
2009年:ドバイ債務危機
韓国では、
●韓国「ロッテワールドタワー」
建築期間:2009年~2017年
があります。555メートル、123階建ての超高層ビルですが、建築許可を得るのに20年以上かかり、総工費が4兆2,000億ウォンかかったとされています。
『朝鮮日報』によれば「莫大な投資と多額の維持・運営費で採算性は悪く『永久赤字建物』との声もある」そうです。
「ロッテワールドタワー」の場合は、世界的な経済危機が起こったわけではありませんが、中国によるTHAAD報復などで企業としてはひどい目に遭いました。
超高層ビルなど建てるとロクなことにならない――というのは正しいのかもしれません。
(吉田ハンチング@dcp)