アメリカ合衆国はもしかしたら政策金利のビッグカット(50bps = 0.5%引き下げ)を行うのではないか――といった観測まで出ています。
韓国でも次の金融通貨委員会で「今度こそ」基準金利の引き下げがある――と期待感が高まっています。
Money1でもご紹介したとおり、2025年08月28日に基準金利を2.50%に据え置いた際、『韓国銀行』の李昌鏞(イ・チャンヨン)総裁は「様子見」と説明しました。

アメリカ合衆国の『FOMC』(Federal Open Market Committeeの略:連邦公開市場委員会)が先に政策金利を下げてくれるなら、金利差を気にする韓国としても下げやすくなります。

↑『CME』の「FedWatch」を確認すると、次回の『FOMC』(2025年09月16日〜17日)で「4.00~4.25%」になる確率は「90.2%」となっています(ビッグカットの可能性は9.8%/2025年09月08日時点)。
韓国では次の金融通貨委員会が10月23日に予定されています。
――という背景の下、韓国では定期預金にお金が流入するという現象が起こっています。
韓国の5大銀行の定期預金残高は、
対前月比増加額
07月:+12.9兆ウォン
08月:+9.8兆ウォン
(08月末時点で定期預金残高:954兆7,319億ウォン)
――と直近2カ月で約22.7兆ウォンが流入しています。
この期間に定期預金への資金流入が爆増したのは、世界的な「不透明感」があったものと見られます。トランプ関税の決着が見えず、お金を使わずにセーブして取っておこうという心理が働いたのでしょう。
また、資金流入の背景には「金利が下がる前に今の金利で預金しておきたい」という、いわば駆け込み需要があったとも推測できます。
07月の預金銀行の1年満期定期預金の平均金利は「年2.50%」ですが、年初は「3.08%」でしたからすでに「0.58ポイント下落」しています。
金利は下がるだろう――というのがいわばコンセンサスで、韓国の市中銀行は預金金利を引き下げにかかっています。そのため「今が預金加入の最後の機会だ」――と急速に定期預金に資金を入れているわけです。
文在寅時代には「これが最後の機会だ」というので、不動産市場が異常に盛り上がったことがありましたが、(今回は定期預金ですが)心理的には似ています。
韓国メディアによると、市中銀行の関係者が「10月に基準金利引き下げの可能性が高まっているだけに、預金金利がさらに下がる前に加入しようとする駆け込み需要が当分続く見通しだ」――と述べているとのこと。
この「金利下げ問題」がどのように推移するか、これも韓国経済の一つの注目点です。
(吉田ハンチング@dcp)






