世界的信用格付け会社『Fitch(フィッチ)』は、韓国の信用格付けを「AA-」に据え置きました。しかし、これから『Moody’s(ムーディーズ)』『S&P(スタンダード&プアーズ)』の格付け公表が控えております。
この信用格付けがどうなるのかが非常に注目されます。
韓国の格付け低下を防がねばならない!
というのは、なんとか『フィッチ』の方は据え置きで凌ぎましたけれども、韓国の政府負債・家計負債の異常な増加は格付け機関も注視しているからです。
格付けが下がると、韓国はカントリーリスクが上がったとして不利益を被ります。国債や社債の利率を上げないといけなくなるという事態が予想されます。資金調達コストが上昇するわけです。当然利払いの額が増えますのでキャッシュアウトの規模が拡大します。
で、毎度のことながら韓国企画財政部が格付け機関との交渉に当たっているわけですが、同部のトップであるあの洪楠基(ホン・ナムギ)副首相兼企画財政部長官が非常に苦戦しているのはないか、そのように推測される発言がありました。
他ならぬ洪長官自身の言葉です。
「だからこれ以上負債を増やすと格付けが落ちるってば」と洪長官
韓国では新年からもう補正予算の議論が行われているのですが、追加でまくお金の規模について政府と与党。野党の間でもめております。
先にご紹介したとおり政府案では「14兆ウォン」。与党『共に民主党』は「35兆ウォン」、野党『国民の力』に至っては「50兆ウォン超」を主張しているのです。
当然ながら政府に財政余力などありませんから、赤字国債の発行ということになります。
しかし、政府負債がここでまた急増すると……韓国の格付けが落ちる可能性が高まります。必死に格付け会社を説得しなければならない洪長官としては「35兆ウォン」「50兆ウォン超」などと気楽に言う議員を怒鳴りつけたいところでしょう。
この追加予算規模議論の攻防で、洪長官は「国際信用評価会社が韓国の国家債務が増える速度を懸念している」とし、「(信用等級の下落を押しとどめるのが)限界に来ているのではないかと思う」と述べました。
つまり、これ以上政府負債が増加したら信用格付けの下落を据え置いてもらえないぞ――と正直に言ったわけです。
そもそも01月から追加予算を組む議論が起こっていること自体が異常で、これは韓国史上71年ぶりのこと。文政権下でどれほど負債を積むつもりなんだ――という話です。
膨れあがる政府負債を背負って信用格付け会社と渡り合う洪長官の苦労たるや大変なものでしょう。
というわけですから、読者の皆さまもこの追加予算の議論が「いくらで落着するのか」、その後の『ムーディーズ』『S&P』が韓国の格付けをどのように発表するのかにご注目ください。
(吉田ハンチング@dcp)