2025年09月16日、韓国の産業通商資源部が「2025年08月自動車産業動向」を公表しました。
読者の皆様もご存じのとおり、米韓関税交渉はまだ続いています。
「15%で合意した」となっていますが、投資額の合意ができていないため、いまだFIXしていません。ホワイトハウスから合意文書も出ていません。
韓国がもっとも重視しているもののひとつは「自動車」です。韓国産業通商資源部の主力輸出品目に挙がるのは半導体に続いて自動車です。金額が大きく、自動車産業は裾野が広いですから、これが傾くと困るのです。
しかし、米韓の関税交渉が妥結していないため、韓国から合衆国へ輸出される自動車には「25%」が科せられています。
※米韓FTAによって韓国は自動車(ピックアップトラックを除く)輸出については関税0%で輸出されてきたことに注意してください。合衆国との交渉が妥結したとしても、これまでは「0%」だったのに、15%の関税を賦課されることになるのです。
2025年08月の自動車輸出の結果はどうなったのか?――を見てみましょう。
対米の自動車輸出
2025年08月:20億9,700万ドル(-15.2%)2025年01~08月累計:202億9,200万ドル(-15.1%)
※( )内は対前年同期比の増減
⇒参照・引用元:『韓国 産業通商資源部』公式サイト「2025年08月自動車産業動向」
合衆国への韓国の自動車輸出は15%も減少しています。
ところが、韓国の産業通商資源部は、
2025年08月も07月に続き、
自動車輸出量(+5.5%)
国内販売量(+8.3%)
生産量(+7.1%)と、すべて前年同月比で増加した。
自動車輸出額は前年同月比+8.6%増加した55.0億ドルで、歴代8月の自動車輸出額の最高値を記録した。
2025年01~08月累計の自動車輸出額も477億ドルを記録し、歴代最高値を更新した。
と書いています。
では、なぜ最大の輸出市場で減少しているのに、全体での輸出金額は増えたのでしょうか。
他の地域で必死になってカバーしようとしているからです。以下をご覧ください。
●EU
2025年8月:7億9,200万ドル
前年同月比:+54.0%
01~08月累計:62億9,100万ドル(+21.4%)
⇒対米減少を補う最大の増加要因のひとつ
●その他ヨーロッパ
2025年08月:5億4,700万ドル
前年同月比:+73.2%
01~08月累計:41億7,300万ドル(+29.2%)
⇒ 欧州全体での存在感が拡大中。
●アジア
2025年08月:5億9,100万ドル
前年同月比:+9.3%
01~08月累計:50億2,500万ドル(+35.5%)
⇒ 伸び率ではEU・その他欧州に次ぐ大きな牽引役。
●中南米
2025年08月:2億4,800万ドル
前年同月比:+0.8%(ほぼ横ばい)
01~08月累計:23億700万ドル(+29.2%)
⇒ 年間ベースでは大幅増。
●アフリカ
2025年8月:4,200万ドル
前年同月比:+42.2%
01~08月累計:3億1,300ドル(+20.7%)
⇒ 規模は小さいが成長率は高い。
――というわけです。
大きく見れば、最大市場の合衆国では輸出が減少しているので、EUおよびその他欧州で輸出規模を拡大しようとしており、またその他の地域でも輸出増を達成しているので、全体として、08月は対前年より輸出が伸びた――というわけです。
欧州は別として、パイが小さくても「とれるところは全部とる」という勢いを見せています。
簡単にいえば「必死だな」と総括できるでしょう。
(吉田ハンチング@dcp)







