2025年09月17日、韓国でソウル外信記者クラブ(略称「SFCC」)懇談会が開催されました。登壇したのは、アメリカ合衆国との関税交渉で矢面に立たされた、外国部の趙顕(チョ・ヒョン)部長(長官:外相に相当)です。

韓国では「3,500億ドルもむしられるぐらいなら、関税25%のママでも構わない」という主張が力を得ています。

合衆国ジョージア州で韓国人の不法労働者が縄付きスタイルで逮捕拘禁。316人が韓国政府チャーター機で帰国し、世界的に赤っ恥をかかされました。
本件によって「反米世論」がにわかに高まり、左派・進歩系団体が「ヤンキー・ゴーホーム」と叫ぶデモを繰り広げる始末で、冷静な議論もしにくくなっています。
しかし、高関税問題を放置していいのかといえば、まったくそんなことはありません。
趙顕(チョ・ヒョン)外相は、この懇談会で記者から「25%関税を科されても急がないということか?」と聞かれ――、
「そうではない」
「韓国企業が不利益を受けないよう、政府が迅速に措置を取るべきだと考える」
「ただ、合衆国の提案の中には、われわれの国民に負担を課す内容があり、その場合、われわれは国会の同意を得なければならない」
「そのほかにも憂慮される点があることを合衆国側にうまく説明し、互いにWin-Winとなる方策を作り出さねばならないため、交渉が遅れているだけだ」
――と述べました。「急がないわけではない」という迂遠な表現になっています。
いつまでも引っ張れるわけがありませんし、またいつトランプ大統領が「関税をさらに倍!」などと倍々プッシュをしてくるかもしれず、韓国側は防戦一方です。
また「自由主義貿易」をさせてくれるエリアが喉から手が出るほど欲しい状況となっていますので、(よせばいいのに)「CPTPPに加盟すべき」といった声も高まりつつあります。
日本メディアが「韓国のCPTPP加盟のためには、日本と福島産水産物の輸入制限問題を協議すべきではないか」と聞いたのですが、
趙顕(チョ・ヒョン)長官の回答は――、
「韓国民がその地域の水産物に対して抱く懸念が解消される前には、制限を解除できる事案ではない」
「日本とは必要な交渉はするが、この水産物輸入制限措置の撤廃がCPTPP加盟の先決条件だとは考えない」
――と愚かなものでした。
日本の処理水問題について、左派・進歩系人士は、非科学的な批判をくり返してきましので、もはや引っ込みがつかないのかもしれませんが、「ルールを守ること」がCPTPPの決まりです。
かつて李在明(イ・ジェミョン)さんは「福島処理水の放流は宣戦布告と同じだ」と言いました。

↑「宣戦布告だ」と明言したときの写真もあります。李在明(イ・ジェミョン)さんの左後ろにいつるのが国務総理(首相に相当)成りおおせた金民錫(キム・ミンソク)さんです(前科三犯)。
これに先立つ2023年08月23日(水)には、国会で「第2の太平洋戦争」と表現しています。
もし韓国がCPTPPに加盟したいのであれば、以下の加盟したい国の列の一番最後に並ぶべきでしょう。現在7カ国が待っています。
台湾(2021年09月22日)
エクアドル(2021年12月17日)
コスタリカ(2022年08月10日)
ウルグアイ(2022年12月01日)
ウクライナ(2023年05月05日)
インドネシア(2024年09月25日)
※( )内は加盟申請日。2024年11月28日、CPTPPは中国・台湾・エクアドルを飛ばして「コスタリカの加盟を協議する」と公表しました。
韓国は「申請したらスグに許可される」と考えているかもしれませんが、そのような考えは甘すぎます。
CPTPPには「オークランド原則」という高いハードルが設けられており、それをクリアする国しか入れません。
1.協定の高い基準を満たすための準備が整っていること
CPTPPは、貿易や投資、知的財産権、環境保護、労働基準など、非常に高い規制基準を設定しています。加盟を申請する国や地域は、これらの基準を達成するための法制度や政策の整備が必要です。
2.貿易上の約束を遵守してきた実績があること
過去の貿易や投資協定において、義務や約束を履行してきた実績が重要です。これにより、CPTPPの枠組み内で信頼できるパートナーであることを証明する必要があります。
3.加盟国全体の合意(コンセンサス)が必要であること
CPTPPの加盟には、既存の加盟国すべての合意が不可欠です。すなわち1か国でも反対すれば加盟は認められません。
オークランド原則を順守する国であるかどうか十分吟味されます。
「福島・群馬・栃木・千葉・茨城・宮城・岩手・青森の8県からの日本産水産物の輸入を拒絶している」という状況は、完全に「1」に反しています。
また、中国の「加盟してから改革します」「約束します」に『IMF』『WTO』が騙されたので、その轍を踏まぬよう、CPTPPは「加盟前に整合させる前倒し改革(フロントローディング)」が原則です。
そのため「加盟したら制度を修正します」というウソは通用しません。
趙顕(チョ・ヒョン)外相は「水産物輸入制限措置の撤廃がCPTPP加盟の先決条件だとは考えない」と「愚かな」な発言をしたわけすが、「うん、それなら加盟できません。こっち来ないように」です。
近代国家、自由民主主義国家、法治国家になったらまた来てみてね――です。
(吉田ハンチング@dcp)






