もう何度でも言いますが、韓国は何かというと「なんとか基金(ファンド)」を作りたがるヘンな国です。これは資産が少ないため、何か大きな資金が必要な事業を行うためには広くお金を集めないと仕方がないためだと思われます。
しかし、「○○ファンドやるぞ!」とぶち上げては立ち枯れさせてきたというのが実体です。
「原発部品企業支援ファンド」はどこに消えたのか
韓国メディア『朝鮮日報(日本語版)』に独占記事として「【独自】「原発部品企業支援」500億ウォン規模のファンド創設という韓国政府の空手形」という記事が出ました。さすがに記者さんも「いい加減にしろ」と思っていらっしゃるのでしょう。
同記事で取り上げているのは、2018年06月に構想が立ち上がった「エネルギー転換ファンド」(原発部品企業支援ファンド)です。
なにせ文在寅政権は「クリーンエネルギー政策」を掲げており、原子力発電は目の敵にされています。
そのため、これも何度もご紹介していますが、原発産業の一角を担ってきた、あの東芝から盗まれたHDDが渡ったとされる、あの『斗山重工業』の経営が傾いたほどなのです。
原発産業だって『斗山重工業』だけで成立しているわけではありません。部品を納品する企業があって初めて原発が造れますし、メンテもできます。
しかし、文政権のせいで仕事がなくなり廃業に追い込まれる企業が出て、それら企業の構造転換(要は仕事がなくなるので他のことしなさい的ななひどい話です)を支援する」としてぶち上げたのが、500億ウォン規模の「エネルギー転換ファンド」というわけです。
ところが……これが立ち枯れどころか何もしていなかったのです。
『朝鮮日報』の記事から一部を以下に引用します。
原発部品企業支援のために500億ウォン(約45億円)規模のファンドを創設すると言ってきた韓国政府が2年以上も約束を果たさずにいる。
脱原発政策で原発分野の中小企業を枯死の危機に陥れた政府は最小限の支援も怠ったとの批判を受けている。
脱原発政策で原発業界が困難に直面すると、韓国政府は2018年6月、首相による国政懸案調整点検会議を開き、「エネルギー転換(原発部門)の後続措置および補完対策」を発表した。
当時政府は「(原発)補助機器、予備品分野の中小企業の成長力補完および事業構造改善のために500億ウォン規模のエネルギー転換ファンドを創設する」と約束した。
しかし、約束は果たされなかった。
(後略)
※赤アンダーライン、強調文字は筆者による(以下同)
で、この500億ウォンがどうなったかというと……以下のようになりました。
(前略)政府が約束してから2年後の今年5月26日に創設された。
規模も当初の約束を大きく下回った。
ファンド規模は325億ウォンにとどまり、それも原発分野への投資は半額の162億5,000万ウォンに限られた。
残りは再生可能エネルギー分野に投じられる予定だ。
原発部品企業への支援額は政府の当初発表(500億ウォン)の3分の1にすぎない。
その上、ファンド創設から4カ月が経過するが、まだ実際の投資は行われていない。
というわけで、結局「1ウォンも支援していない」のです。
自国の原発のメンテは大丈夫なのか
おっかしな話なのは、原発の部品を作る企業が枯死しようとしているのに、海外の原発を受注しようという努力は続けているのです。
いや、国内で需要がないから海外に活路を求めるのは分かりますが、部品製造企業がなくなったら、どうやって海外の原発をメンテするつもりなのでしょうか。
そもそもこんなことで自国内の原発もメンテできるのでしょうか。
日本人は、やがて十分なメンテもできなくなりそうな原発がすぐ隣の国で稼働していることを忘れてはなりません。
(柏ケミカル@dcp)