韓国「米韓戦略的投資のための特別法」やっと発議 ⇒ これでMOU正式公表に至るか。

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2025年11月26日、韓国の国会に「米韓戦略的投資管理のための特別法」が、『共に民主党』の金炳基(キム・ビョンギ)院内代表によって発議されました。

企画財政部が「米韓戦略的投資管理のための特別法』発議」というプレスリリースを出しました。

やっとです。これが国会で可決されなければ、米韓関税交渉が「終わった」とはなりません。可決された月の01日から、現在科されている関税25%が15%に引き下げられます。

以下に企画財政部が出したプレスリリースの全文を和訳します。

「韓米戦略的投資管理のための特別法」発議

戦略的投資のための米韓戦略投資基金および米韓戦略投資公社を時限設置

国会への法案提出により、自動車・部品の関税引き下げの11.1日付け遡及適用の要件を充足

金炳基(キム・ビョンギ)『共に民主党』院内代表は11月26日(水)、「米韓戦略的投資管理のための特別法案」を代表発議した。

これは11月14日(金)に両国政府が署名した「韓米戦略的投資に関する了解覚書(MOU)」の履行のための後続措置であり、

❶戦略的投資の推進体系および手続き
❷米韓戦略投資基金の設置

そしてこれを管理する❸米韓戦略投資公社の時限的設立

などの内容を盛り込んでいる。

本日、特別法案が国会に提出されたことで、自動車・部品の関税引き下げ(25%⇒15%)が11月01日付けで遡及適用されるための要件が整った。

<特別法案の主な内容>
❶戦略的投資の推進体系および手続き
戦略的投資の意思決定構造は、米韓戦略投資公社に設置される運営委員会(委員長:企画財政部長官(’26年01月02日からは財政経済部長官))と、産業通商資源部に設置される事業管理委員会(委員長:産業通商資源部長官)の二重構造で成り立つ。

合衆国投資委員会が対米投資事業の候補を提案する場合の意思決定手続きは次のとおりである。

1.まず、事業管理委員会が一次的に事業の商業的合理性および戦略的・法的考慮事項を検討した後、運営委員会へ審議を要請する。

2.運営委員会は、事業管理委員会の審議要請がある場合、事業管理委員会の商業的合理性等に関する検討結果と基金の財務状況等を総合的に考慮して投資意思を審議・議決する。

3.産業通商資源部長官は、運営委員会の審議・議決結果に従い、同長官が委員長を務める米韓協議委員会(Consultation Committee)を通じ、対米投資事業の推進に対する韓国側の意思を示し協議する。

4.米韓協議委員会での協議を通じて、合衆国投資委員会が合衆国大統領に商業的に合理的な投資を推薦し、投資先が選定される場合、運営委員会は最終的に投資資金の執行を審議・議決する。

事業管理委員会が自ら対米投資候補事業を発掘する場合にも、

1.事業管理委員会の商業的合理性等の検討、

2.運営委員会の総合的審議・議決、

3.これを基にした産業通商資源部長官の対米協議、

4.事業が最終選定される場合の運営委員会の最終投資資金執行審議・議決
という同じ手続を経ることになる。

特別法案は、これらの過程において運営委員会、事業管理委員会、産業通商資源部長官などがMOUに明示された以下の安全装置を遵守するよう法に明記した。

1.年間200億ドルの送金限度の範囲で、事業の進捗度を考慮した金額を執行しなければならない。

2.対米投資の執行が外国為替市場の不安を引き起こすおそれがあると予想される場合、投資執行の金額および時点を調整するよう要請しなければならない。

3.商業的合理性のある投資事業のみを合衆国投資委員会の推薦対象とすべきである。

5.国内法との抵触の有無を含む事業の戦略的・法的考慮事項を合衆国側に提示しなければならない。

6.事業に商品およびサービスを提供するベンダーおよび供給業者の選定、プロジェクトマネージャーの選定において、可能な限り韓国企業または韓国人が選定されるよう合衆国側に推薦し協議しなければならない。

6.事業推進過程で合衆国政府の支援が必要な事項(連邦土地の賃貸、水・電力およびエネルギー供給、購買契約の仲介および規制手続きの迅速化努力等)を検討し、合衆国側と協議しなければならない。

7.20年の期限内に個別の対米投資事業の投資金回収が困難と予想される場合、キャッシュフローの配分比率調整について合衆国側と協議しなければならない。

❷韓米戦略投資基金の設置
戦略的投資の財源を効率的かつ体系的に管理・運用するため、米韓戦略投資公社に「米韓戦略投資基金」を設置する。

基金の財源は、政府と韓国銀行が委託する外貨準備高運用収益および海外での政府保証債発行などで調達し、このように調達した資金はMOUで定められた対米投資(年間200億ドルの限度)および造船協力度投資の金融支援(保証、貸付など)に使用される。

基金の運用目的別収入・支出の体系的管理のため、対米投資と造船協力度投資支援の勘定を区分して管理できるようにした。

❸米韓戦略投資公社の時限的設立
特別法案は、米韓戦略投資基金の管理・運用主体として「米韓戦略投資公社」を設立する。

公社は政府の出資で設立され、20年以内の時限的運営後、法律の規定に従って解散する。

法定資本金は3兆ウォンであり、米韓戦略投資基金の造成・管理・運用等の業務を遂行する。

併せて、公社の業務は韓国産業銀行、韓国輸出入銀行、韓国貿易保険公社、韓国投資公社などに委託できるようにし、既存政策金融機関の専門性を活用できるようにした。

一方、透明な基金管理・運用のため、公社は基金の管理・運用状況を年1回以上国会に報告し、運営委員会が公社の業務状況等に対する監督権を持つ。

<評価および今後の計画>
企画財政部は、「今回の特別法案発議で、自動車・部品の関税引き下げ(25%⇒15%)が11月01日付けで遡及適用されるための要件が整い、これによりわが企業の対米輸出の不確実性が緩和された」と評価した。

産業通商資源部は特別法案の国会発議直後、産業通商資源部長官名義の書簡を合衆国商務長官宛に送付した。

同書簡では、11月14日(金)に署名した「米韓戦略的投資了解覚書」履行のための法案が11月26日(水)午前に国会で発議されたことを伝えるとともに、自動車・部品関税引き下げの11月01日付け遡及適用を含む連邦官報への速やかな掲載を要請した。

合衆国側の連邦官報が近く掲載されれば、自動車関税は11月01日付けで25%から15%に引き下げられ遡及適用される予定である。

政府は今後、特別法案の国会審議過程でも国会と積極的に協力し、特別法案が国益に合致する形で制定されるよう努力する。

金院内代表は当該特別法案について、「両国間MOUの単なる履行措置ではなく国益特別法」であり、「関税交渉の外交的成果を経済的成果へと広げるため、国会レベルの支援を惜しまない」と述べた。

一方、昨日(11月25日)、与党・政府は<APEC成果拡散および韓米関税交渉後続支援委員会>の第1回会議を開き、米韓関税交渉の後続措置のための課題発掘と支援策の用意に乗り出す計画であると発表した。

⇒参照・引用元:『韓国 企画財政部』公式サイト「[報道参考]『韓米戦略的投資管理のための特別法』発議」

予定されていた内容は盛り込まれていますが、産業通商資源部の金正官(キム·ジョングァン)部長(長官)が述べていた懸念点――

「米韓は投資元利金をすべて回収するまで、韓国と合衆国の収益配分率を5対5に設定したが、これを法律にしてしまえば、後で直したくても合衆国が『しない』と言えばどうする方法もない」

――がプレスリリースでは言及されていません。

現在発議された法律の全文がまだ見れれない状態ですが、この部分がオミットされたかどうかを確認してみます。もしこれが法案に入っていない場合には、合衆国は了承するでしょうか。それともMOUで入っているから「よし」とするのでしょうか。

(吉田ハンチング@dcp)

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