何度かご紹介していますが、韓国の石油精製企業が瀕死の状態となっています。この石油精製企業の「四月危機」について、2020年04月17日、韓国メディア『ソウル経済』に興味深い記事が出ました。
精油会社が製品需要の減少に伴う流動性危機に対応するために社債に続き、企業手形(CP)まで拡大発行。短期流動性が脅かされている。
第1四半期の主要石油会社の営業損失額の合計が3兆ウォンを超えると予想されている上、精油会社の信用格付けも着実に下がり資金調達環境が悪化しているからである。
(中略)
一部の精油会社は、CPを発行して環境税を支払わなければならないと不満を吐露している。
(後略)⇒参照・引用元:『ソウル経済』「短期流動性危機の石油会社『CP発行して税金支払』」(原文・韓国語/筆者(バカ)意訳)
※赤アンダーライン、強調文字は筆者による(以下同)
先の記事でもご紹介したとおり、とにかく石油製品の需要が干上がっているため在庫が積み上がり(しかも航空燃料は劣化するので日持ちしないなどのマイナス要因がある)、日々赤字を垂れ流している状況です。
上掲のとおり同記事では第1四半期の営業損失を「3兆ウォン」と見積もっています(メディアによって予測が異なります)が、第2四半期も回復するとは考えられていません。
この状況に追い打ちをかけるように、格付け会社が精油企業の格付けを引き下げました。
(前略)
16日、エネルギー業界によると、国際信用評価会社『ムーディーズ』は、『SKイノベーション』と『SK総合化学』の信用格付け見通しを「安定的」から「否定的」に下方修正した。韓国企業評価も、13日『SKエネルギー』と『エスオイル』の無保証社債格付け見通しを「AA +」から「否定的」に引き下げた。
(後略)
先の記事でもご紹介しましたが、格付けが引き下げられると利率を上げないと「社債」「CP(コマーシャル・ペーパー)」が発行できないといった支障が出ます(需要予測が不良で発行できないこともある)。
つまり、資金の調達コストが上がるわけですし、狙いどおりに資金を調達できない可能性も高まります。ただでさえ、投資家の心理が冷えており、資金調達しにくい中で格付けが下がるのは非常にまずいことです。
「環境税を支払うためにCPを発行しなければならない」ほどキャッシュがない企業にとって、この格付け引き下げはまさに病人の布団をはぐような行為に思えるでしょう。
(柏ケミカル@dcp)