流動性危機を克服するため、韓国政府は『韓国銀行』と一緒になって市中にお金を供給することに必死になってきました。「通貨スワッップ」※1でFED(Federal Reserve Systemの略称:連邦準備制度)から供給されたドルもその一環です。
この流動性促進は今も継続中です。少しでも油断すると連鎖倒産!みたいな事態になる可能性がまだあるからです。
その結果、先にご紹介したとおりM2が史上最大の3,000兆超えまで膨らみました。
では、緩和された結果の大量のお金はどこに行ったのでしょうか?と懸念する記事が、韓国メディア『韓国経済』に出ました。
非常に興味深い記事ですので一部を以下に引用します。
政府と『韓国銀行』が今年3月から今までに緩めお金は121兆ウォンと集計された。
韓銀が供給した資金は64兆6,000億ウォン規模だ。
韓米通貨スワップ資金198億7,200万ドル(約23兆8,400億ウォン)を金融会社に流し、40兆7,600億ウォンを市場に供給した。
政府が供給した資金は56兆4,000億ウォン程度だ。コロナ19危機対応のために緩和したお金250兆ウォンの一部である。
ここで韓銀が基準金利を史上最低の年0.5%に下げ、市中の流動性は、より増加した。
『韓国銀行』:64兆6,000億ウォン
韓国政府:56兆4,000億ウォン
計121兆ウォンが市中にまかれた、のです。ここまでが前フリです。
で、そのお金はどうなったのかです。
(前略)
専門家は、投資と消費に入ったお金は極めて一部と分析している。むしろ企業や家計の貸借対照表上の数値だけ大きくなったものと見ている。韓国銀行が発表する数値で、これを確認することができる。
企業の融資は今年に入って先月末までに76兆3,000億ウォン増えた。同じ期間の家計貸出も32兆5,000億ウォン増加した。
しかし、この期間に銀行預金は90兆1,000億ウォン増えている。
企業や家計の増えた融資が108兆8,000億ウォンという点を勘案すれば、80%以上が再び銀行に戻ってきたのだ。
(後略)
企業と家計に108兆8,000億ウォン融資したが、預金が90兆1,000ウォン増加している。投資や消費に回ったのは約17%に過ぎないのではないか、というわけです。
結果はまだ分かりません。政府・韓銀の流動性拡大の効果がどのくらいあったのかはもうしばらく見ないと。また、そりゃ銀行に戻るでしょうよという話もありますし。ただ、この時点であまりいい話ではないかも……です。
とりあえず、株式市場に流入していることは確かです。Money1で連日お伝えしているとおり、個人投資家がものスゴイ勢いで買い越し続けていますので。
※1ドル流動性スワップのこと。通常、Money1ではFRB(Federal Reserve Boardの略:連邦準備制度理事会)に従って「スワップライン」「ドル流動性スワップ」と記載しますが、ここは韓国メディアでの呼称に従っています。
(柏ケミカル@dcp)