韓国の実体経済の悪化は、日本で予想されるよりもずっと深刻です。この深刻度は大きくなっており韓国政府が公表する失業率では実態を測りかねます。
その証拠に、休職給付(日本でいういわゆる「失業手当」)は史上最高額を更新し続けており、2020年07月にはついに「1兆1,885億ウォン」まできました。以下は2020年01月から直近07月まで、拠出された休職給付の金額推移です。
上掲のとおり、失業手当の金額はいまだに右肩上がりを続けており、それだけ失業者が増加しているということです。06月から07月への増加は「782億ウォン」と増加幅は緩和されましたが、実体経済の悪化は深刻といわざるを得ません。
先にご紹介したように、失業者が増加すると「雇用保険加入者」が減少し(職を失うと雇用保険を支払わなくなるので)、雇用保険基金に集まるお金が減ります。韓国ではもともと雇用保険基金にあるお金が潤沢とはいえませんから、基金が枯渇する可能性が高まります。実際、枯渇する方向へ向かっています。
どれほど雇用保険加入者が減少しているかに言及した韓国メディア『中央日報』の2020年08月10日の記事から以下に引用します。
(前略)
先月には、造船業の構造調整などで他の輸送機器部門の加入者の減少も目立った。29歳以下と30代の加入者もそれぞれ7万1,000人、5万6,000人ずつ減少した。
60代以上の層が17万人増えているものとは全く違う様相だ。60代以上の増加は、政府の高齢者雇用事業の影響が大きい。
(後略)⇒参照・引用元:『中央日報』「失業給付の1兆2,000億史上最大…製造業は、通貨危機レベル」(原文・韓国語/筆者(バカ)意訳)
※赤アンダーライン、強調文字は筆者による(以下同)
若い世代の失業者が増えており、政府が創出したとする「雇用」では60代以上の層にしか効いていないのです(その雇用というのが最低賃金を支給する短期アルバイトのようなものなわけですが)。
文在寅大統領の「うまくいっている」的な発表は本当にのんきすぎるといえるでしょう。
(柏ケミカル@dcp)