韓国「外貨準備高 4千億ドルがマジノ線」それは誰が言ってるの?

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韓国メディア『中央日報(日本語版)』が「ウォン相場守ろうとしたが…4000億ドルのマジノ線が揺れる=韓国」というタイトルの面白い記事を出しています。

この記事では、

(前略)
外貨準備高が十分ならば国の信用度が上がり海外調達費用を低くする効果がある。

通貨危機まで体験した韓国は「心理的マジノ線」である外貨準備高4000億ドルの確保に特に敏感だ。外貨準備高が4000億ドルを下回ったのは2018年5月が最後だ。
(後略)

⇒参照・引用元:『中央日報(日本語版)』「ウォン相場守ろうとしたが…4000億ドルのマジノ線が揺れる=韓国」

「外貨準備高4,000億ドル」を心理的なマジノ線と書いていますが、これには根拠がありません。

以前にもご紹介したことがありますが、そもそも「1ドル=1,400ウォン」がマジノ線――という話も相当に粗忽、もっといえば「バカの発言」です。「ここが閾値」などという話をすれば、そこを狙われるに決まっています。

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「こういうこと」を言う政府関係者は更迭されるべきなのです。

いちいち「マジノ線」とか言うから抜かれるのです。

外貨準備高の話に戻ると――外貨準備高4,000億ドルが心理的なマジノ線なんて話を誰がしているのか?――です。

少なくとも政府・中央銀行関係者はそんなことをひと言も言っていないはずです。

『韓国銀行』の李昌鏞(イ・チャンヨン)総裁は絶対にそんな話はしません。当然です。『韓国銀行』の総裁が「閾値」の話をすることの「危うさと影響」を熟知しているからです。


↑韓国の外貨準備高の直近推移。データ出典は『ECOS』

そもそも韓国の外貨準備高については、「外貨準備高が積めなくなってきた」と統計を見ていれば分かることです。

『韓国銀行』が公表するデータ(直近:4,153億ドル)が正しいのであれば、スグに困るという事態にはならないはずです。


単位は「億ドル」。「短期対外債務/総外債」「短期外債/外貨準備」は「%」。

⇒参照・引用元:『韓国 企画財政部』公式サイト「2024年第3四半期末の対外債券債務動向」

短期対外債務は外貨準備高の4割ほど(上掲のとおり正確には「37.8%」)でとどまっているからです。

簡単にいうと、「1年以内に返済しなければならない借金」が外貨準備高の37.8%しかないことを示しており、「これなら返せるだろう」と考えられるからです。

問題は――その外貨準備高が本当にあるのか?――です。

読者の皆さまもよくご存じのとおり、1997年のアジア通貨危機の際には――「ありません」でした。

当時を振り返って、アラン・グリーンスパンさんが何と書いたかというと――、

「韓国政府はこの外貨準備を流用していた。

保有するドルの大半を国内の銀行に売るか貸し出していて、銀行はこの資金を不良債権を支えるために使っていたのだ」

――です。現在の韓国も同じようなことをしています。国民年金公団と締結している為替スワップが表に出ている「契約」の一つです。

国民年金機構に『韓国銀行』が手持ちのドルを貸し、等価のウォンを受け取る――ということを行っています。

貸借対照表上は、貸し出していても資産として計上されているでしょう。しかし、国民年金公団に貸し出しているのであれば、それはスグには使えません。

この為替スワップについて、いくら貸し出しているのか――は明らかになっていません。最大規模は500億ドル(2024年06月21日)の契約です。

さあ、韓国の外貨準備高のうち、真水で、緊急時に使えるドルはいくらあるのでしょうか?

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(吉田ハンチング@dcp)

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