韓国の精油企業4社が、2019年の総利益「3兆ウォン」を2020年第1四半期だけで全て吹き飛ばした(4兆ウォンの損)件について先にご紹介しました(以下記事)。
製油産業は韓国の輸出産業の一角を担っているので、精油企業の業績は韓国にとって非常に重要……なのですが、この第2四半期(04-06月)も業績はほぼ大赤字確定です。
2020年05月19日、韓国メディア『毎日経済』にも「『精製マージン最悪』… 精油会社、原油価格上昇も泣き顔」という記事が出て先行きを憂いています。
今年第1四半期に創立以来の「最悪の赤字」を記録した国内精油会社だが、第2四半期の実績にも赤信号がついた。
国際原油価格が上昇し、第1四半期の大規模な赤字の原因となった「在庫評価損」は、減少したが、コロナ19の拡散による石油製品の消費の減少と中国の物量攻勢で、石油会社損益の重要な指標とされる「精製マージン」がマイナス行進を継続しているからである。
⇒参照・引用元:『毎日経済』「『精製マージン最悪』… 精油会社、原油価格上昇も泣き顔」(原文・韓国語/筆者(バカ)意訳)
※赤アンダーライン、強調文字は筆者による(以下同)
第1四半期の決算が大幅な赤字となったのは「在庫の評価損」のせいといっていますが、それはこういう理屈です。
精油会社は精製して販売するための原油をタンクに「在庫」として持っています。決算時にはこれを計上するのですが、一瞬マイナスになるほど原油価格が急落しましたので、在庫の原油の評価額が大幅に下がり、それを損として計上しなければならなかったのです。
で、世界的に原油価格が回復しつつあるので評価損も縮小している、と。それはともかくとして、問題は「精製マージン」だといっています。
石油精製会社は、原油を購入し、輸送してきて精製、販売するという仕事です。
精製マージンは、ガソリン、軽油などの石油製品価格の原油価格と輸送・運用コストなどの費用を差し引いた値で、精油業界の収益を計る重要な指標として挙げられる。
と同記事で説明していますが、以下のようなイメージです。
同記事によると
国内精油業界は損益分岐点となる精製マージンをバレル4ドル台にしている。
なので、この精製マージンが「1バレル当たり4ドル(台)以上ないと黒字にならない」「精油すればするだけ損」なのです。
ところが、
「昨年10月以降、現在までに精製マージンはバレル4ドルを越すことができなかった」とし「特に3月以降、世界的にコロナ19が拡散され、石油製品の消費が急落して精製マージンが連続してマイナスを記録している」と説明した。
精製マージンが損益分岐点である4ドルどころかマイナスに滞在し、石油会社は、製品を売るほど損をする状況が二カ月近く続いているわけだ。
精製マージンが9週連続のマイナスを記録したのは史上初めてだ。
という異常事態です。
精製マージンが精油会社の業績に与える影響は、国際原油価格の変動よりも大きい。
(中略)つまり、国際原油価格が1ドル低下すると650億ウォンの損失が発生するが、精製マージンが1ドル低下すれば1兆ウォンに達する損失が発生することになる。
ですから、精製マージンが4ドルどころかマイナスで推移している現状はまさに死の行進を続けているようなものなのです。一部の韓国メディアでは「製油業界も構造改革か」といった記事も見られ、先に垂れ込める霧も深くなっています。
(柏ケミカル@dcp)