日本ではあまり知られていないことですが、韓国は石油製品の輸出が盛んな国で、精油産業は大きな存在感を有しています。
しかし、新型コロナウイルス騒動と原油の急落もあって、業績は急速に悪化しているのです。ついに、韓国の精油大手4社の2020年第1四半期(1Q:First Quarter(最初の1/4のこと)01-03月)の決算が公表されたのですが、まさに最悪の結果となりました。
営業利益は全て赤字で、しかも以下のとおり巨額です。
『SKイノベーション』▲1兆7,752億ウォン
『S-Oil(エスオイル)』 ▲1兆73億ウォン
『現代Oilbank(オイルバンク)』 ▲5,632億ウォン
『GS Caltex(カルテックス)』 ▲1兆318億ウォン
小計:4兆3,775億ウォン(約3,849億円)の赤字
この4社の2019年の営業利益の合計は3兆1,000億ウォン(約2,725億円)なので、1年の1/4、第1四半期の業績だけで昨年の営業利益を全て吹き飛ばし、なお1兆ウォン超の損失が積み上がったのです。
韓国の精油会社がハマっている状況
なぜこんなことになるのかというと、石油精製企業の状況が以下のようなものだからです。
精油企業は、原油を輸入し、これを精製して各種石油製品を造り、販売します。
石油製品の原価には「原油の価格」「輸送コスト」「精製コスト」などが販売価格に反映されているわけです。しかし、ガソリンや経由といった石油製品の価格が下落すると、コストを賄いきれず、売ると赤字という事態が発生します。これが逆マージン(逆ざや)です。
新型コロナウイルス騒動によって、飛行機が飛ばなくなる、自動車の利用が少なくなるなど、石油製品の需要が減少。そのため在庫関連損失が膨らんだというわけです。
その上、逆マージンでラインを動かせば損をする。韓国の精油業界は、このようは状況にはまりこんでいるのです。
しかも、これは第1四半期だけの結果で、04月も同様に悪く、05月も特に状況は好転していません。現在のところ、第二四半期の決算も良いとは考えにくいのです。
(柏ケミカル@dcp)