最近、韓国の『MBC』(Munhwa Broadcasting Corporation:文化放送)という放送局が日本でも注目される事態となっています。五輪中継での不適切な国紹介、また櫻井よしこ先生を非難するような番組などがあり、日本でも話題になりました。
この『MBC』は、韓国ウォッチャーなら左派に中枢部分を乗っ取られた放送局として有名なのですが、日本ではあまり知られていません。
本来であればMoney1の本分ではないのですが、今回は『MBC』にいったい何があったのかについてご紹介します。知っておくと、韓国がどのように変異したのかが理解でき、またなぜ韓国経済がこのようになってしまったのかも分かるというものです。
左派がメディアを掌握するためにストライキ
韓国では、政権が変わるたびにメディアの中身も変わります。
特に、朴槿恵(パク・クネ)さんが大統領の座から引きずり下ろされ(ローソク革命と呼んでいますが一種のクーデーターです)、文在寅政権が成立すると「積弊清算」を唱え、これがマスコミにも及びました。
積弊とは「長い間に積み重ねられた弊害」という意味です。左派・文在寅大統領の唱える積弊は、保守的なメディアのことも指していたのです。
メディアを左派の手によって牛耳るために労働組合が使われました。
2017年08月、『全国言論労働組合』の『MBC』本部が、金章謙(キム・ジャンギョム)社長の退陣を求めてストライキに突入します。
『全国言論労働組合』は、左派団体『全国民主労働組合総連盟』の下部組織です。
金社長が糾弾された理由は「金社長が報道局長時代に、幹部社員に言論労組からの脱退を勧告し、社長に就任した後は一部労働組合員に対して左遷と思われる人事を行い、放送の公正性を監視し、労働組合員を解雇した」というものでした。
また、『放送文化振興会理事会』の高永宙(コ・ヨンジュ)理事長はじめ保守派と見られた理事の退陣も要求しました。同会は、『MBC』の経営を監督・管理するための組織です。ここから左派には都合の悪い人物を一掃しようとしたわけです。
退陣に応じない理事に対して労働組合員は「家族に危害を加える」とまで言い放ち、辞任するまでプラカードを掲げてつきまといました。
このような活動のため、理事会からは保守的理事が去り、左派の人物が埋めました。これによって理事会は金章謙社長の解任動議を可決。
金章謙社長は「この度は(文政権の)放送掌握にありとあらゆる手段が動員された。私が最後の犠牲になることを願う」との声明を発表し、『MBC』を去りました。
金章謙さんの代わりに社長に就任したのは崔承浩(チェ・スンホ)さんで、この人はばりばりの左派運動家です。
2003~2005年には『全国言論労働組合』の副委員長、『MBC』本部長を務めました。2012年06月には「不当ストへの参与」が問題となって解雇されたことのある人物なのです。
ちなみに、崔さんは2005年には櫻井よしこ先生の件で注目された番組「PD手帳」の責任プロデューサーだったのです。
崔社長は就任した直後に「組織を壊した者に対しては厳格な調査を実施するつもりだ」と表明。実際に保守的な考え方の幹部社員に対しての調査を開始しました。
当時、『MBC』のオ・ジョンファン報道本部長は以下のように社内掲示板に書き込んでいます。
『清算するぞ』『牢獄に送ってやる』と脅しもした。
私には『積弊』という言葉は、解放後、革命勢力が私の祖父に使った『反動分子』と同じ言葉に聞こえた」
書いていても嫌な気持ちになりますが、ここまでで2017年12月です。文在寅政権が発足したのは2017年05月ですから、半年たたずに左派が『MBC』を掌握したのです。
※2020年02月25日の株主総会で社長を含め経営陣は大幅に変更されています。ただし、経営陣13人のうち8人は労組出身です。
(吉田ハンチング@dcp)