2020年09月11日、『韓国銀行』から「2020年8月 国際金融・為替市場の動向」のデータが公表されたのですが、韓国の株式市場・債券市場に対する外国人投資家の行動が極めてダメっぽい感じになっております。
「外国人が帰ってきた」はヌカ喜びだった
以下に該当部分を表組にしましたのでご覧ください(表組は横にスクロールできます)。
これは、外国人投資家が韓国の株式・債券にいくらお金を突っ込んだのかの「収支」を表しています。プラスなら買い越しで資金流入、マイナスなら売り越しで資金流出です。
04月 | 05月 | 06月 | 07月 | 08月 | 2020年計 | |
株式 | -43.2億ドル | -32.7億ドル | -4.4億ドル | 13.9億ドル | -8.9億ドル | -208.7億ドル |
債券 | 58.2億ドル | 21.0億ドル | 29.2億ドル | 30.1億ドル | 6.7億ドル | 225.6億ドル |
小計 | 15.0億ドル | -11.7億ドル | 24.8億ドル | 43.9億ドル | -2.2億ドル | 16.9億ドル |
先にMoney1でもご紹介しましたが、07月の韓国の株式市場では「外国人投資家が帰ってきたー!」と喜びの声が上がっていました。
上の表にもあるとおり、「株式」で「13.9億ドル」プラスになっています。日本円で「約1,476億円」買い越したわけで、つまり韓国の株式にそれだけ資金が流入したのです。
ところが! 上掲のとおり、その喜びも1カ月しか持たず、08月にはまた「-8.9億ドル」とマイナスに転じました。つまり日本円で「約945億円」売り越して、その分資金が韓国の株式市場から出て行ったわけです。
04月「-43.2億ドル」、05月「-32.7億ドル」、06月「-4.4億ドル」と資金流出が続いていただけに、07月の資金流入は非常に歓迎すべきことでした。しかし、それはぬか喜びだったのです。
08月、債券に流入する資金が激減した
次に債券市場ですが、これはずっとプラスで来ています。しかし、「やったー資金流入だ」と手放しで喜ぶわけにはいきません。なぜなら、債券を購入しているというのは確かに外国人投資家がお金を突っ込んでいることですが、元本と利子分を返済しなければならないからです。
つまり、利子を付けて返すお金なのです。もっといえば外国人に借金をしているわけです。しかし、入ってきたお金を投資に使うなどして、支払わなければならない「利子 + 元本」より膨らませることができれば問題はありません。
例えば会社が発行する債券である「社債」は、資金を集めてそれで事業を運営し、社債で集めた以上の金額に膨らませるのですから。つまるところ、さらに大きなお金にするための元手を作る、これが社債の役割であり、だからこそ発行するのです。
ですので債券市場にお金が入ってくることは一応はいいことです。
ですが、上掲のとおり07月に「30.1億ドル」プラスだったのに、08月には「6.7億ドル」と急減しています。
そのため、
株式:-8.9億ドル
債券:6.7億ドル
小計:-2.2億ドル
株式で8.9億ドルの資金流出、債券で6.7億ドルの資金流入。「収支で-2.2億ドル」と韓国から資金が純流出することになってしまいました。
07月までは韓国に資金が流入していたのに、08月は急に資金が出ていく方が多くなったのです。
ですので極めてダメっぽい事態というわけです。
09月にどうなるのか要注目です。
(柏ケミカル@dcp)