投資の世界でうまく成功を勝ち取った人の言葉は傾聴に値します。賢人の言葉、考え方が著作にまとまっていれば一読すべきでしょう。
今や古典となったフィリップ・A・フィッシャー(Philip A. Fisher)の『株式投資で普通ではない利益を得る』(原題:『Common Stocks and Uncommon Profits and Other Writings 2nd Edition』/日本語版・監修:長尾慎太郎,翻訳:井田京子発行,発行元:パンローリング株式会社)は、特に初心者投資家に多くの示唆を与えてくれる本です。
中でも有名なのは、「どんな会社の株式を買うべきか」として挙げた「15のポイント」です(以下は同書pp100-141より引用)。
1.その会社の製品やサービスには十分な市場があり、売り上げの伸びが数年以上にわたって期待できるか
2.その会社の経営陣は現在魅力のある製品ラインの成長性が衰えても、引き続き製品開発や製造過程改善を行って、可能なかぎり売り上げを伸ばしていく決意を持っているか
3.その会社は規模と比較して効率的な研究開発を行っているか
4.その会社には平均以上の販売体制があるか
5.その会社は高い利益率を得ているか
6.その会社は利益率を維持し、向上させるために何をしているか
7.その会社の労使関係は良好か
8.その会社は幹部との良い関係を築いているか
9.その会社は経営を担う人材を育てているか
10.その会社はコスト分析と会計管理をきちんと行っているか
11.その会社には同業他者よりも優れている可能性を示す業界特有の要素があるか
12.その会社は長期的な利益を見据えているか
13.近い将来、その会社が成長するために株式発行による資金調達をした場合、株主の利益は希薄化されないか
14.その会社の経営陣は好調なときは投資家に会社の状況を饒舌に語るのに、問題が起こったり期待が外れたりすると無口になっていないか
15.その会社の経営陣は本当に誠実か
詳しくは同書を読んでいただくとして、フィッシャーはこのような点を挙げています。事業の利益率、その継続性と研究開発による発展性に注目するのはもちろんですが、会社の経営陣が優秀であるかについても目を配るべきと考えていることが分かります。
フィッシャーはこれらを満たす会社の株式こそ「価値ある投資先」と定義しているのです。
(柏ケミカル@dcp)