「長期投資を考えるのであれば、景気循環での下落局面を恐れるべきではない」とは多くの識者が示唆するところです。
Money1でも紹介したことのあるフィリップ・A・フィッシャーは、『株式投資で普通ではない利益を得る』の中で、次のように述べています。特に初心者投資家には参考になりますので、少し長いですが引用します。
<<引用 ここから>>
どのようなタイプの投資家でも、株に投資するならば、ある基本的な考え方をぜひ知っておくべきだと思う。そうしなければ、金融界に蔓延する懸念に影響され、景気循環による下落相場を恐れるあまり、価値あるチャンスを無駄にしかねないからだ。
その考えというのは、二〇世紀半ばにある現在、景気循環の影響は、マーケットに影響を及ぼす五つ(あるいはそれ以上)の強力な力の一つにすぎないということだ。
これらの力は、群集心理に影響を及ぼすものもあれば、直接的な経済運営によって、株価全般に極めて大きな影響を及ぼすものもある。
そのほかの四つの力は、金利の傾向、投資や民間企業に対する政府の全体的な姿勢、インフレを加速させる長期的な傾向、そしてもしかしたら最も強力なのが、古い業界に影響を及ぼす新しい発明や技術である。
これらの力が、すべて同時に同じ方向で株価に作用することはほとんどない。また、そのどれか一つだけが長期間大きく影響を及ぼし続けることもない。
そのため、これらの力の複雑で多様な影響を考えれば、最も安全な道は、一見最もリスクが高そうな方法だ。
それは、自分が状況をよく把握している会社が投資すべき時期になったと確信したら、すぐに買うということだ。推測や憶測に基づく恐れや希望に負けて、行動を止めてはならないのである。
<<引用 ここまで>>
データ引用元:『株式投資で普通ではない利益を得る』(原題:『Common Stocks and Uncommon Profits and Other Writings 2nd Edition』)日本語版,監修:長尾慎太郎,翻訳:井田京子発行,パンローリング株式会社,P.176/強調文字は筆者による
フィッシャーは短期的な売買は薦めていません。景気循環のよる下落相場があったとしても、それを恐れずに自分が確信する株式を購入せよ、といっています。いわゆる「バイ・アンド・ホ-ルド」が基本というわけです(ただしその企業の動向を常に監視し、株式を入れ換えることを推奨)。
アメリカの株式市場は確かに景気循環を乗り越えて右肩上がりを続けてきた歴史があります。それは、Money1でも紹介したジェレミー・シーゲルの研究成果などでも明らかです。
しかし、これは日本の株式市場にも当てはまるでしょうか!?
(柏ケミカル@dcp)