韓国の公企業の惨状はご紹介してきたとおりですが、これはいけないと韓国企画財政部のタスクフォースが動いています。特に、李明博(イ・ミョンバク)大統領時代に資源調達に動いた公企業が二進も三進もいかなくなっていますので、なんとかしなければなりません。
韓国公企業36社の2020年の業績を全部足すと「当期純利益:-2,066億ウォン」(約-202億円)になります。最も業績が悪いのは『韓国石油公社』でなんと「当期純利益:-2兆4,391億ウォン」(約2,391億円)の大赤字です。
「バッド・カンパニー」を作るか、という話
2021年04月28日、タスクフォースは一応の勧告書を提出しています。
で、これまで「資金を新たに投入するなんてとんでもない」としてきたのですが、今回のタスクフォースの報告書ではケースによっては資金投入も良しとしている点が注目されます。
といっても、優良資産だけ集めた会社を作って……という話です。
どういうことかというと、現在ひどいことになっている公企業を良好な資産と不良資産に分け、不良資産を集めた「バッドカンパニー」を作ることを勧告しているのです。
銀行の経営が危うくなったときには、不良資産ばかりを集めた「バッドバンク」を作り、大本の銀行には優良な資産だけ集めて生き残れるようにしますが、これと同じ手法を使おうというわけです。
大きく「財布はひとつ」と見れば、特に不良資産が減るわけではありませんが、少なくとも「バッドカンパニー」を分離すれば、大本の公企業の健全性は回復することはできます。
「グッドカンパニー」がバッドになる可能性は?
このように分離してから、「グッドカンパニー」の方には新たに資金を投入することも考えるとのこと。さらには民間の資金を投入することも視野に入れています。
問題は、「優良な資産」なるものが存在するかどうかです。また、グッドカンパニーがまたスカの鉱山などをつかんで「不良資産化」することもあり得ます。というよりむしろ、邪推すれば新たな資金を投入する手管としてこのようなことを言い出したのかもしれません。
「橋の真ん中を通ればいいんですよ」みたいなとんち話なのですが、公企業改革がどのようになるのかについてもぜひご注目ください。
(吉田ハンチング@dcp)