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『ムーディーズ』は韓国の格付け維持したが……韓国経済を注視している

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2021年05月11日、世界的な格付け会社『Moody’s(ムーディーズ)』は韓国政府の格付けについて正式に公表しました。


↑『ムーディーズ』のリポート。読むためには250ドルかかります

韓国政府が先に安堵してリリースを出したとおり「Aa2 Stable」としています。

しかし、『ムーディーズ』のプレスリリース(これは無料で閲覧できます)によると、韓国政府が公表したように単純に「コロナ禍を耐えた韓国経済の堅牢性が評価され……」たというわけではないことが分かります。

同プレスリリースから以下に一部を引用します。

(前略)
韓国の信用に関する主な課題は、高齢化によってもたらされる長期的な経済・財政コストと、北朝鮮との軍事衝突の継続的なリスクに関連しており、これはAaランクのソブリンとしては異例のイベントリスクとなっています。
(後略)

2020年から人口の自然減少フェーズに入った韓国ですから、これの与える影響、また地政学的なリスクについて指摘しています。

さらに注目なのは、以下の部分です。

(前略)
政府は、コロナウイルスの流行からの当面の回復を超えて、財政的緩和を継続するという見通しを立てていますが、債務は歴史的に高い水準にまで増加しており、長年にわたって確立されてきた財政規律が試されています。
(後略)

これは2020年にじゃぶじゃぶ増やして史上最大となった政府負債についての言及です。Money1でさんざんご紹介してきた、韓国の新しい「財政準則」が問われているぞ――という指摘です。

フェアにご紹介しますが、この後、は「しかし、……」と続きます。

歳入が徐々に回復して
低金利下で負債の借り換え(ロールオーバー)が行え
負債のコストが安定しているので

『ムーディーズ』としては「韓国政府の『負債を負担できる能力』はまだ高いと見る――としています。韓国政府にとってはありがたい結論でしょう。

ですが、これが逆になるとどうでしょうか、という話です。特に②の金利が上昇したら……です。

これからの韓国の格付けがどうなるのかについては、以下のように結論しています。

経済・構造改革により潜在的なGDP成長率が上昇し、地政学的リスクが大幅に減少すれば、格付け上昇のモメンタムが生まれるだろう。

一方で、地政学的リスクの高まり、グローバルショックや国内ショックによる経済へのダメージの深化と持続、政府財政の大幅な悪化は、格付け低下の圧力につながるだろう。

後段は、格付けが低下する際の条件が挙げられていますが、

・アメリカ合衆国と中国の対立の間でサンドイッチ
(しかもどちらかというとレッドチーム寄り

・財政は大幅に悪化し、その事態は継続中

なのでどちらかといえば、格付けが下がる方向のようですが……。

(吉田ハンチング@dcp)

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