しばしばご紹介してきましたが、韓国「国民年金基金」は株式市場においてはクジラです。しかし、国内株式に投じることのできる金額(総運用資産における割合)が決まっているため、それを超えると自動的に売らなければなりません。
ポートフォリオの規定上「セルコリア」11カ月連続!
↑KOSPI(韓国総合株価指数)は2020年03月19日を底に順調に値を上げてきた(チャートは『Investing.com』より引用)
韓国株式市場は、コロナ禍からの回復で順調に株価を上げてきたため、保有資産のリミットを超え、「国民年金基金」は韓国株の売り越しを続けました。
2020年06月から2021年04月まで、11カ月連続で売り越しを続けるという事態となり、売り越し金額は「24兆4,795億ウォン」(約2兆4,234億円)に達しました。
先にご紹介したとおり、韓国の個人投資家からは「『国民年金基金』が買っていれば株価はもっと上がったはずだ」という声が強くなり、そのため同基金は、総運用資産における割合を緩めざるを得なくなりました。外国人投資家ならともかく、韓国の基金がセルコリアとは何事か、というわけです。
05月に買い転! 期待がかかるが……
――で、2021年05月、ついに「国民年金基金」が買い越しに転じました。
金額は「599億ウォン」(約59.3億円)とそこまで大きくはありませんが、この買い転が韓国では注目されています。個人投資家からは「基金が買えば株価は上がるのでは?」と期待が高まっています。
しかし、これはポートフォリオの規定上の問題なので、株価が上がればまた売りに転じざるを得なくなるでしょう。個人投資家の皆さんの失望を招くような結果にならなければいいのですが……。
韓国「国民年金基金」の売買動向にご注目ください。
(吉田ハンチング@dcp)