韓国の鉄道について衝撃的な事実が分かりました。2020年に高速鉄道以外の全24路線が全て赤字だったというのです。
これは韓国メディア『亜州経済(韓国版)』が報じています。以下が数字です。
一般旅客鉄道:-7,524億ウォン(約-729.8億円)
広域鉄道:-4,491億ウォン(約-435.6億円)
貨物鉄道:-2,967億ウォン(約-287.8億円)
小計:-1兆4,982億ウォン(約-1,453.3億円)
韓国では鉄道は公社が運営しています。そのため政府からの補てんがされるのですが、これが「3,500億ウォン」(約339.5億円)。高速鉄道は黒字ですが、金額は「887億ウォン」(約86.0億円)しかないので到底赤字金額を埋めるとができません。
この補てん分と黒字を加算すると以下のようになります。
政府の補てん金額:3,500億ウォン
高速鉄道の黒字分:887億ウォン
小計:-1兆595.0億ウォン(約-1,028億円)
政府補てんと高速鉄道の黒字は焼け石に水で、1兆ウォン以上の赤字です。
韓国の鉄道の赤字は構造的なもの
2020年はコロナ禍で旅客が極端に減少しましたので、その影響が大ですが、この鉄道の赤字には構造的なものがあります。
高速鉄道が路線を拡大するに従って、そちらの方が速いものですから、お客さんが一般鉄道に乗らなくなってしまうのです。また、高速鉄道が走る路線であれば政府から補償金が出ないので(対象から外れる)、その分赤字がかさんでしまいます。
同記事では、『ソウル市立大』の交通工学科教授バク・ドンジュさんの言葉を以下のように引いて説明しています。
「高速鉄道の開通と拡大で一般的な鉄道は自然に損失が発生する仕組み」
韓国では、鉄道は公共に資するものという考えから公社(『韓国鉄道公社』:略称「KORAIL」)が運営しています。韓国では鉄道料金が安いといわれますが、それは公社、すなわち政府が赤字をかぶっているからです。
この、ある意味不当に安い運賃を改正するところから始めないと黒字転換は望めません。
しかし、ソウル地下鉄の巨額赤字をご紹介したときに触れましたが、運賃の値上げは庶民の反発を買います。そのため、政治家はみな口にしたくないのです。このため赤字体質がずっと続き、そのため政府の支出も止まらないという悪循環になっています。
(吉田ハンチング@dcp)