先にご紹介した「MSCI指数」の結果が出たようです。MSCIの判断は2021年も韓国市場は「新興国」となり、「先進国」ではない――とのこと。
そもそもなんの話なのかというと……
株式の取引をされない方はご存じないでしょうが、『モルガン・スタンレー・キャピタル・マネジメント』(略称「MSCI」)が算出している「MSCI指数」というINDEXがあります。
「MSCI指数」の中に、
新興国市場(Emerging Market)
フロンティア市場(Frontier Markets)
という分類がありますが、韓国は「新興国市場」に入っています。
韓国はなぜか先進国に入っていることにこだわる国で、韓国の経団連といわれる『全国経済人連合会』が「MSCI指数」で先進国に分類されるように政府も努力すべきだとリポートを出していました。
このリポートについては、かなり強引な内容でしたからMoney1では以下の記事でご紹介しました。
――で、MSCIは年に一度会合を行い、指数について見直しなどを検討します。それが06月で、さて2021年の判断やいかに、と注目が集まっていたというわけです。
ただし、2021年にいきなり「先進国に分類された!」なんてことはあり得ないのです(後述)。
「空売り禁止」が先進国に分類されなかった理由の一つに挙がる
MSCIの会合が終わったのですが、結局「韓国は新興国市場」の判断は変わらなかったというわけで、さっそく『中央日報(日本語版)』にこれについての記事が出ています(元記事は『韓国経済』)。
以下に記事の一部を引用してみます。
(前略)
21日の証券業界によると、MSCIは毎年1回開く6月の定例会議で韓国に対し既存の新興国指数編入を維持することにした。指数に編入するには観察対象国となってから少なくとも1年が経過しなければならない。
韓国は2014年に先進国指数編入の前段階である観察対象国から脱落した後、7年連続でそれまでの地位を回復できないまま新興国指数にとどまっている。
(後略)⇒参照・引用元:『中央日報(日本語版)』「韓国、南アフリカより評価低かった…MSCI先進国指数編入ならず(1)」
※赤アンダーライン、強調文字は筆者による(以下同)
そもそも、分類を変更されるには「観察対象国」にならないといけないのですが、韓国の場合には2014年に観察対象国からも脱落し、そのポジションに復帰できないまま7年もたっているのです。
ですので、2021年に突然「先進国」に分類されることはあり得ないのです。
また、問題点としては以下のように指摘されたと書いています。
(前略)
編入不可の根拠は域外のウォン現物市場不在、英文資料不足、外国人投資家登録義務などこれまでと大きく変わらなかった。ここに今年は空売り規制内容が追加された。MSCIは「インドネシア、マレーシア、韓国、トルコ、アラブ首長国連邦などは空売り規制が点数に反映された」とし、「市場インフラ」の評価項目の減点要因だと説明した。
(後略)
②英語による説明資料が不足していること
③外国人投資家の登録義務
については、『全国経済人連合会』のリポートでも触れており、Money1でもご紹介しましたが、今回は「先進国市場ではない」と判断された理由の一つに「空売り禁止」措置が挙がっているのが特筆すべき点です。
韓国は2020年韓国株式市場の暴落時に「明日から空売り全面禁止だ!」と無茶なことを行い、この措置を1年2カ月続け、現在も一部の銘柄しか空売りを解禁しておりません。
この市場の流動性を阻害する措置がMSCIから「先進国の基準を満たしていない」と指摘されたのです。
というわけですので、韓国がMSCI指数で先進国となるのはまだ時間がかかるものと思われます。
(吉田ハンチング@dcp)