韓国では電力不足によるブラックアウトが懸念されています。
ブラックアウトを起こさないため、脱原発のスローガンを投げ捨てて、無理矢理休止させていた原発を再稼働するドタバタになっているのですが、ガックリする事実が明らかになりました。
韓国政府の公表した今夏の電力需要の予測が間違っていた、というのです。
何度かご紹介していますが、韓国政府が2020年12月に公表した第9次電力需給基本計画では、今夏の最大電力需要は「90GW」でした。
ところが、2021年07月27日にはこれを上回る「96.4GW」を記録。予測より「7.1%」も上回っています。
6.4GWといえば、原発5~6基分になります(原発の発電容量を1~1.4GWとして)。
なぜこんなにぶれるのか不思議だったのですが、これに韓国メディア『韓国経済』が答えを出してくれました。
実は、先の政府予測には公式電力市場外の太陽光発電施設による電力量を足し込んでいなかったのです。
政府予測はお粗末な内容だった!
電力市場外での太陽光発電というのは、家庭・農業や一般企業で使用される小型の太陽光発電システムなどです。韓国での太陽光発電には以下の種類があります。
②『韓国電力』と直接取引する電力購入契約(PPA※)の太陽光発電
③個人の自家発電による太陽光発電
※PPAは「Power Purchase Agreement」の略です
②と③が計算されていなかったのです。問題は、これらの施設での発電量がなかった場合、その分の電力需要がなくなるのかというと……そうではありませんね。
どこか別のルートから電力を供給しないといけなくなるわけで、それが原発5~6基分あったのです。
つまり、②と③が利用できなくなった場合(太陽光発電の場合「天候の急変」などがあり得る)、原発5~6基分の電力をどこかよそから調達しないといけなくなります。
夏でこのような状態ですから、「冬どうするんだ」という話もあります。
太陽光発電施設の増設に邁進している割には実際の電力需要をきちんと把握していなかったわけですので、正直にいえば……お粗末な話だといえるでしょう。
先に、文在寅大統領が「太陽光発電の発電容量をきちんと計算するように」と指示したのですが、この指示によって発覚したとのこと。
文大統領の指示は太陽光発電施設の貢献度をかさ上げする目的のものでしたが、図らずも電力需要を正しく把握するためのきっかけとなりました。
こういうのもけがの功名というのでしょうか。
(吉田ハンチング@dcp)