どう考えてもボールは韓国側にあるのですが……という話です。
先にご紹介した『ソウル経済』による、宋旻淳(ソン・ミンスン)元外交通商部長官へのインタビュー記事ですが、日韓関係についての言及がありますのでご紹介します。
同紙の記者が聞き、宋さんが答えています。宋さんは長官になるまで外交畑に33年間いた方です。
記事から一部を引用します。まず以下の部分。
(前略)
――尹大統領は日韓関係を置いて「金大中 – 小渕宣言」に言及し、積極的な関係改善の意志を明らかにした。「金大中-大渕宣言」の基本骨格は、(日本が)過去の誤りについて反省して謝罪すると共に、韓国は第2次大戦後、日本が国際社会の平和と繁栄のために遂行した役割を認める、という二つの柱から成っている。
近年、両国共この柱から離れたが、尹大統領がその柱を再び守るという意志を表明した。
結局、日本もそのような意志を見せることができるかどうかにかかっている。日本にボールを投げたという意味がある。
※宋元長官は98年、金大中大統領の外交秘書官として「金大中-小渕宣言」草案作成に参加した。
08月15日の演説で尹大統領が「金大中-小渕宣言」(日韓共同宣言-21世紀に向けた新たな日韓パートナーシップ-)について言及しました。
これについて、宋さんは韓国は金大中-小渕宣言を順守することを示した、日本はどうするのか示す番だ――という主旨の発言しています。「ボールは日本にある」と言いたいようです。
日本からすれば、金大中-小渕宣言を順守するとかしないとかではなく、ボールは韓国側にあると認識しています。
すなわち、「国際法を守るのかどうか答えを出してくれ」というボールを韓国側に投げており、それを韓国がどう投げ返すのかを見ているのです。ボールは韓国にあります。
次に以下の部分をご覧ください。
(前略)
――日韓関係で強制動員問題(原文ママ:筆者注)は緊急の懸案だ。解決策は出ている。特に1965年の日韓請求権協定を正確に解釈すれば、過去史問題はこれ以上提起してはならないことが多い。
重要なのは、司法部が日本企業の賠償責任を認める判断ができるという点だ。司法部は外交を行う機関ではない。国家間で締結し、国会の批准同意まで受けた協定に対して司法部が異なる判断を下した場合、これは国家元首が国内的に解決しなければならない問題だ。
そうでなければ、国家間で結んだ条約は意味がなくなる。
――外交部が最高裁判所に「現金化を延ばしてほしい」という趣旨の意見書を提出し、徴用被害者側が日韓民官協議会から抜けた。
徐々に解決していこうという趣旨とみなす。余りにも感情的な要素が強く、時間を置いて冷まさなければならないし、政権が変わるたびにこんなことをしていては解決できない。
日韓関係は基本的に傷だらけだ。ゆっくりと進むべきだ。どんな方向でも急がずに。
(後略)
この宋さんは、さすがに外交畑一筋の方だけあって、司法が国家間で結んだ条約に反する判断をした場合には、国家元首が国内的に解決しなければならない――と正鵠を射ています。
「政権が変わるたびにこんなことをしていては解決できない」は、まさにそのとおりです。日本は韓国の手のひら返しにウンザリしています。
ですから、韓国にボールがあるのです。国と国との約束を守るのかどうか、投げ返していただきたいものですね。
(吉田ハンチング@dcp)