「中国との通貨スワップは韓国の役に立たない」という主張

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韓国『韓国銀行』は中国『中国人民銀行』と
「通貨スワップ」を締結しています。韓国の識者の中には「中韓通貨スワップが実際の通貨危機時に役に立つのか」と疑問を呈する方もいらっしゃいます。

先にご紹介した、「米韓通貨スワップの常設化を要求すべき時がきた」のカン・テス『KAIST経営大学』招聘教授のご意見です。

(前略)
□中韓通貨スワップはより大きな悩みを伴う。

金融・為替危機の防御手段として中韓通貨スワップは代案になるのだろうか。

2020年10月22日、『中国人民銀行』と『韓国銀行』はウォン・人民元通貨スワップ契約を延長した。スワップ契約規模が3,600億元(64兆ウォン)から4,000億元(70兆ウォン)に拡大した。

契約期間が3年から5年に拡大し、相互合意時の追加延長も可能である。

□両国の金融当局は、通貨スワップが金融市場の安定、ドルへの依存性の縮小など肯定的な役割を果たすと期待する。

しかし、実際に中韓通貨スワップが外国為替危機克服に役立つというのは、検証されていない一方的な期待かもしれない。

□まず、中国の為替危機の発生は人民元価値の暴落を意味する。私たちの国が危機的な状況であれば、人民元は私たちにとって役に立ちません。

さらに、中韓通貨スワップが私たちが必要なときに発動できるかどうかは不明だ。韓中関係が非常に流動的だからだ。サード報復事例で見たように……。

中韓通貨スワップの得失を考えると、中国側のパイがより大きく見える。中国が「人民元国際化」の象徴的結果として中韓通貨スワップを活用しようとする意図が感知される。
(後略)

⇒参照・引用元:『ifs POST』「米通貨スワップ『一軍同盟』加入緊急」

中韓の通貨スワップは危機時には役に立たないと述べていますが、これは全くそのとおりです。

中国が危機になったら、中国はウォンなど渡されてもどうにもならないでしょう。また、逆に韓国が危機になったとして、人民元が救いになるかといえば、これまたさほど役に立つとは思えません(人民元で支払わなければならない元建て債務の履行には役立ちます)。

カン招聘教授は「THAAD報復のこともあるから、実際韓国が困ったときに発動できるかどうか分からない」と恐ろしいことを述べています。

契約って何かね」ということですが、中国は契約があっても約束を守らないかもしれないと恐れているわけです。

邪推かもしれませんが、これは自身の投影ではないでしょうか。自分が約束を守らないから相手も守らないと考えるのです。

しかし、韓国が中国の機嫌を損ねた場合、約束を守らないことは実際にあり得ましょう。日本との約束を守らない韓国が、中国に約束を守ってもらえないという事態になったら、さぞ滑稽なことでしょう。

面白いのは、中韓通貨スワップの得失を考えると、中国の方が得をする――と述べていることです。

韓国との通貨スワップは中国にとってもリスクがあります。韓国ウォンが暴落するかもしれません。人民元とウォンを比較すれば、人民元の方が国際的な通貨です。

なにせ人民元は『IMF』(International Monetary Fundの略:国際通貨基金)の通貨バスケットにも採用されているのです。

ウォンは韓国でしか使えないローカルカレンシーに過ぎません。

先日、「トルコとの通貨スワップで韓国が大損」などと韓国メディアで記事になっていましたが、ウォンが暴落したら、「韓国との通貨スワップで中国が大損」と中国メディアが書くかもしれません。

韓国が経済危機に備えるなら、やはりハードカレンシーの供給元が必要です。

それはもちろん第一に外貨準備なわけですが、1997年に世界を股にかける高利貸し『IMF』に進駐された韓国ですので、本当に使えるものなのかが疑問です。

そのためハードカレンシー国との二国間通貨スワップを求めるわけですが、以下のようになっています。

ドル(アメリカ合衆国):2021年12月31日に終了
ユーロ(EU):なし
円(日本):なし
ポンド(イギリス):なし
スイスフラン(スイス):100億スイスフラン

ドル流動性スワップ

アメリカ合衆国・連邦準備銀行と『韓国銀行』が締結したドル流動性スワップが2021年12月31日に切れますので、ハードカレンシー5つのうちでは「スイスフラン」だけが残ることになります。

ともあれ、経済危機時に中韓通貨スワップが支援になるかというと、心許ないというのが本当のところです。「中韓通貨スワップは実際の経済危機には役に立たないだろう」と述べている韓国の識者は他にもいらっしゃいますので、またご紹介するようにいたします。

(柏ケミカル@dcp)

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