韓国の政府負債についての「今さら」な話です。
韓国メディア『毎日経済』に「『隠れた借金』が含まれる場合、国家債務の割合は71%です」という記事が出たのですが、要は韓国政府が公表している「国家債務」はもっと多い――と主張しています。
まず、Money1では何度かご紹介している、国家間での負債を比較するときは「D2」を使いましょう――という話です。
政府負債をカウントする際には以下のように「D1」「D2」「D3」という区分があります。
D2:D1 + 非営利公共機関の負債
D3:D2 + 非金融公企業の負債
「D2」を使った方がよい理由は、『IMF』(International Monetary Fundの略:国際通貨基金)、『OECD』(Organisation for Economic Co-operation and Developmentの略:経済協力開発機構)などの国際機関が統計データに「D2」を基にしているからです。
しかるに、韓国政府は国家債務の話をするときには専ら「D1」を用い、他国と比較してきました。
韓国政府は、2025年の国家債務の対GDP比を「58.8%」としましたが、『IMF』では「64.2%」で、違いがあるのはそのためです(『IMF』は各国政府から提出されたデータを基にしているので本来は合わないとおかしい)。
「D1」で韓国政府が「他国と負債の規模を比較する」のはフェアな態度とはいえません。これについては同記事で批判するのも当然のこと。しかし、「今さら」で「いや、だからぁ」な話です。
『ダウンタウン』の浜田さんなら「だからオレはずっとそれを言うてるやん」と突っ込むかもしれません。
それは会計上負債にはカウントしません
しかし、この記事にはいただけない部分があります。
『国民年金基金』が保有する国債をカウントすれば負債はもっと増えて、対GDP比率は71%まで上がるというのです。
しかし、国民年金基金も国(政府のものであり、国債は国(政府)が発行したもの。つまり、政府の懐(ふところ)内での資産・負債の発生ですから、これをあらためて「隠れ負債」と指摘することに意味はありません。
内部取り引きのいって・こいになるからです。実際、会計上はこれは負債にカウントしません。
ですので、この主張はおかしいです。「71%」ではなく、『IMF』の公表どおり2025年には「2025年には64.2%」と見るのが正しいでしょう。
ただ、韓国の政府負債が異常な速度で増加しているのは確かです。
また、先にご紹介したとおり、李在明(イ・ジェミョン)さんが次期大統領になると「災害支援機をまたまく」「ベーシックインカム導入」が推進されるでしょうからさらに政府負債は拡大するでしょう。
また、これによって政府負債の対GDP比率は『IMF』の予測を超えることになるでしょう。
格付け会社による評価は確実に下がるでしょうし、政府財政がより危うくなることだけは確かです。韓国はどうするつもりでしょうか。
(吉田ハンチング@dcp)