韓国の企画財政部が公共機関の負債の規模を公表しました。これは、韓国の国家負債を考える際に大事なデータです。ちなみに、この公共機関の中には、国策銀行『産業銀行』『輸出入銀行』『企業銀行』も含まれます。
2020年、この3行を除いた347個の公共機関の負債合計は「544兆8,000億ウォン」(対前年比:17兆9,000億ウォン増加)となりました。
これで3年連続の増加です。
公共機関のタイプ別に負債額を見ると以下のようになります。
準政府期間(96個):125兆7,000億ウォン(約12兆3,186億円)
その他の公共機関(215個):21兆2,000億ウォン(約2兆776億円)
計347個:544兆8,000億ウォン(約53兆3,904億円)
純資産は347個の公共機関合計で「357兆6,000億ウォン」(約35兆448億円)となってるので、仮想の貸借対照表は以下のようになります。
負債比率※を計算してみると、152.3%です。
韓国メディアの言説では「負債比率:200%以内」は安全圏と考えている節があるので、韓国政府は「財布は1つ」と見て「まだ全然大丈夫」と考えているのかもしれません。
確かに上掲の仮想の貸借対照表だけ見ているとOKな気持ちになるかもしれませんが、個々の公社などを見るとまあひどいものばかりで、デフォルトが懸念されたりするのです。しかし、韓国政府の方針は、比較的財政の健全なほかの公共機関と合体させるというもの。これは、全体で見れば「まだ全然大丈夫」と考えているからではないでしょうか。
ただし、ずっと大丈夫かというとそうでもありません。先にご紹介したとおり、特に公企業でこれまで野放図に債務(返却しなければならない借金)を膨らませてきたツケがたまっているのです。
これは喫緊になんとかしなければなりません。政府の経済官僚もそれは百も承知で、その証拠にタスクフォースが対策のグランドデザインを策定すべく活動しております。
ともあれ、文在寅大統領は公共機関の負債も増大させた人として記録されることになりそうです。
※負債比率は、負債を自己資本で割って求めます。つまり負債が自己資本の何倍あるかを示しています。
(吉田ハンチング@dcp)