韓国の株式市場では、外国人投資家が買い越したか売り越したかが非常に注目されます。株価が上がるか下がるかに大きな影響があるからです。
株式市場ほど注目はされませんが、債券市場においても実は似たようなもので、やはり外国人投資家の投じる資金は、韓国のように小さな市場規模では大きな影響力を有しています。
今回はその外国人投資家の最新の動向です。
株式市場では2020年より多く資金を抜いた!
『韓国銀行』が2021年11月10日に公表したデータを見ると、外国人投資家の投じる資金が非常に興味深い動きをしていることが分かります。
以下がその引用です。
⇒参照・引用元:『韓国銀行』公式サイト「2021年10月以降、国際金融・外国為替市場動向」
※上記の数字は全て純売買額です。
まず株式市場。09月には「外国人が帰ってきたー!」と喜んでいたのも束の間、2021年10月、外国人投資家は売りに転じ、26.5億ドル(約3,003億円)を売り越しています。
わずか1カ月でセルコリアに転じたわけです。
ご注目いただきたいのは、株式市場における2021年の累計です。
あれだけ「外国人投資家のセルコリアはいつまで続くんだ」とメディアも騒いだ2020年の外国人投資家の売り越し金額は、「182.4億ドル」で締まりました。
しかし、2021年10月時点で売り越し金額はすでに「263.5億ドル」(約2兆6,795億円)に達しています。
2021年が締まるまであと2カ月ありますが、外国人投資家は昨年を上回るスピードでセルコリアを行っているというわけです。
債券は2020年の2.24倍で買い越し巨額
次に債券市場。10月は「22.0億ドル」(約2,493億円)の買い越しです。その分外国人投資家がお金を投じたわけですが、これは債券ですから負債です。簡単に言えば、利子を付けて返さなければいけない借金です。
株式と同様に、2021年の累計にご注目ください。
「2020年:217.1億ドル」(約2兆4,597億円)に対して、2021年10月時点での累計が「486.7億ドル」(約5兆5,143億円)と「2.24倍」になっています。
コロナ禍に見舞われた2020年と比べて、債券による負債が2.24倍も膨らんだのです。(リターンが期待できないのであれば洟も引っ掛けないはずなので)資金を入れてくれるのは有り難い話ですが、債券の場合は利子を付けて返済しなければならないことを忘れてはいけないでしょう。
以下は、2021年01~10月の外国人投資家の債券の純売買金額の推移です。
高値を徐々に切り下げており、10月には22.0億ドルまで減りました。確かに負債ではありますが、これがマイナスになったり、このまま低く推移すると問題です。韓国に海外から資金が入らなくなったことを意味するからです。
――さて、残すところ2カ月。外国人投資家は韓国の証券市場でどのような売買動向を見せるでしょうか。とりあえずは、韓国株式市場から資金が抜け続けるのかにご注目ください。
(吉田ハンチング@dcp)