覚えていらっしゃる方も多いでしょうが、2021年01月04日、イランの革命防衛隊が韓国のタンカーを拿捕し、ペルシャ湾のバンダル・アッバース港に牽引しました。
下掲はその際の映像を伝える『yjc.ir』のYouTube動画です。
拿捕された船は「Korea Chemical」(日本語では「ケミ号」と報道)で、オーナー会社は韓国・釜山の『DM Shipping Co., Ltd』。
イラン側は抑留の理由を「タンカーが環境汚染に関与したため」としましたが、韓国メディアはじめ日本でも「原油代金70億ドルを支払わせるための人質」という推測が出ました。
韓国政府はイラン側と交渉を続け、2021年04月08日(イラン時間)、タンカーはようやく解放。
↑「ケミ号」を見送る韓国の在イラン副領事。PHOTO(C)韓国外交部
結局、70億ドルがどうなったのか、また交渉の詳細は全く明らかにされませんでした。
しかし、ここにきて解放されたのは韓国政府の努力でも何でもなく、「会社側が海洋汚染を認め、巨額の損害賠償を支払ったから」という話が出てきました。
2021年09月に「ケミ号」の船主である『DM Shipping Co., Ltd』が韓国政府を相手に「26億ウォン」の損害賠償請求訴訟を起こしていますが、その内実を韓国メディアが報じたのです。
『中央日報』の記事から以下に引用します。
(前略)
『DM Shipping Co., Ltd』は訴訟を通じて「韓国ケミ号が捕らえられた当時、イラン政府の強要によって船舶の海洋汚染事実を認める合意書に署名し、巨額の賠償金を出した後にしか解放されなかった。
この過程で韓国政府関係者は同席した程度で義務を全く果たさなかった」
という趣旨の主張をしたという。
(後略)
真実であれば、韓国政府は何もしなかったことになります。
このような『DM Shipping Co., Ltd』の主張報道に対して、韓国政府側の反論も報じられています。
以下に引用します。
(前略)
外交部関係者は「イランによる韓国ケミ号抑留事件で、政府は国民の安全と保護に最優先事項を置き、韓国ケミ号側との緊密なコミュニケーションはもちろん、対イラン交渉および他の関連国との協議などを通じて事案の解決のために最善の努力を行った」
と明らかにした。
それと共に「現在関連訴訟が進行中であることを勘案し、訴訟の過程で詳細に争うだろう」と付け加えた。
(後略)
これは、ケミ号側の主張「我々がイランの言い分を認めてサインさせられ、巨額の賠償金額を支払うのを、政府は横目で見ていただけ」に対する反論になっているでしょうか。
訴訟の過程で詳細が明らかになるそうですので、楽しみに待つことにいたしましょう。
なにせ、当時韓国政府は、「国民を守るのが政府の役目だ」と大見得を切って次官を派遣したのです。その結果が「横で見ていただけ」なんてことであれば、自らの役目を果たさなかったことになります。
(吉田ハンチング@dcp)