先に韓国経済は「貿易収支が減少してきたら」「貿易収支に赤字が出てきたら」危ない兆候とご紹介しました。
貿易収支は「貿易でのもうけ」を示し、「輸出 – 輸入」で求めます。韓国の場合には、この貿易収支が十分に大きな金額でないと経常収支が赤字になってしまいます。
先の記事では、韓国通貨危機でドボンになった「2008年」とドボン前の「2007年」を比較しましたが、直近の数字がどのようになっているのかを見てみましょう。
残念ながら、「通関ベースで貿易赤字となった2021年12月」の国際収支統計データがまだ『韓国銀行』から公表されていません。
仕方がないので「2020年01月~2021年11月の貿易収支の推移」を見ると、以下のようになります。
データ引用元:『韓国銀行』
※『韓国銀行』が公表したデータを基にMoney1編集部でグラフ化しました
これだけでは減少しているかどうか分かりにくいかもしれませんので、2020年と2021年で「月次の貿易収支の増減率(2020年から2021年へ何%増えたのか)を出してみます。
以下の表組をご覧ください(単位は億ドル)。
2020年 | 2021年 | 増減率 | |
01月 | 20.7 | 57.3 | +177% |
02月 | 66.0 | 59.7 | -9% |
03月 | 69.6 | 79.2 | +14% |
04月 | 7.0 | 45.6 | +547% |
05月 | 26.1 | 63.7 | +144% |
06月 | 61.8 | 76.2 | +23% |
07月 | 70.1 | 57.3 | -18% |
08月 | 70.8 | 56.4 | -20% |
09月 | 121.1 | 94.5 | -22% |
10月 | 101.7 | 56.4 | -45% |
11月 | 99.5 | 59.5 | -40% |
12月 | 105.0 | ? | ? |
2021年06月までは、コロナ禍からの回復を見せて、景気よく対前年同期比で貿易収支は増加を続けてきたのですが、07月から様相が変わります。
07月から前年同月比でマイナスに転じ、11月まで連続マイナスで、つまり貿易収支は減少しています。しかも「07月:-18%」だったものが「11月:-40%」と拡大しているのです。
残念なことに、まだ12月のデータが出ていませんが、通関ベースで「-4億5,200万ドル」の赤字でしたから、いくらなんでも国際収支統計で「2020年12月:105.0億ドルの黒字」を抜くことはないでしょう。
というわけで、韓国の「貿易収支」は減少してきています。これは良くない兆候です。楽観視はできません。
(吉田ハンチング@dcp)