韓国で「中央銀行」と「金融機関を監督する機関」がもめるという――非常に興味深い現象が起こっています。
2022年02月04日、『韓国銀行』が金融監督院に毎年出していた支援金100億ウォンを「もう出さない」と決めた――という報道が出ました。
この金融監督院は、銀行監督院、証券監督院、保険監督院、信用管理基金という4つの監督機関を統合して1999年に作られた無資本の特殊法人です。
金融委員会や証券先物委員会の指導・監督を受け、金融機関に対する検査・監督業務などを行うためにあるのですが、実は公的機関ではありません(公職関連団体ではある)。
で、この金融監督院に『韓国銀行』は設立以降一定規模の支援金を納めてきました。2006年からは『韓国銀行』が毎年100億ウォンの支援金を出していますが、今回はこれを「やめる」というのです。
『韓国銀行』側の言い分としては、「『韓国銀行』はあくまでも設立初期に金融監督院が安定的に存立しうるように出しただけであって、もう他の金融機関の分担金だけでも経費は賄えるはずだ」とのこと。
確かに、『韓国銀行』が金融監督院を支えるお金を出さなければいけないと法律で決まっているわけではないのです。しかし、『韓国銀行』がお金の拠出をやめれば、金融監督院の経費を分担している金融機関の負担が増えます。
金融監督院が『韓国銀行』の100億ウォンありきで予算を組んでいるため、100億ウォンを金融機関に割り振らないといけなくなるからです。
一方の金融機関側(『銀行連合会』)が「金融監督院の経費分担金が重い」と次期大統領候補に(婉曲的に)訴えたという情報も出ています。
このような情報が出るところを見ると、『韓国銀行』はじめ金融機関は、そもそも金融監督院の分担金が重いと不満を抱いていたというのが本当のようです。
で、義務がない『韓国銀行』は「オレやめーた」となった、と。
さらに、『韓国銀行』と金融監督院の間で「電子金融取引法」の改正についてもめており、今回の「100億ウォンやめーた」は『韓国銀行』からの示威行為ではないのかという観測も出ております。
実は、『韓国銀行』は2010年にも同様に「もう払わないからね」と支援金の拠出をやめたことがあります。この時は、金融監督院との協議の末に旧に復しました。
金融委員会の下で動く金融監督局と『韓国銀行』の仲が悪くなっているというのはいかがなものでしょうか。
(吉田ハンチング@dcp)