Money1では何度かご紹介していますが、韓国は毎年世界的な信用格付け会社『Fitch(フィッチ)』『Moody’s(ムーディーズ)』『S&P』と協議を行っています。
これは信用格付けが落ちるのを恐れてのことであり、格付けが落ちると資金調達がしにくくなるからですが、この「韓国が信用格付け会社を恐怖する」ことの原点は、盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領時代にまでさかのぼるのかもしれません。
「『ムーディーズ』が盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領に詫び状を書かせた」という事実があるのです。
これは、日本における韓国ウォッチャーの第一人者・鈴置高史先生がその著書の中で指摘していらっしゃいます。
以下に引用してみます。
(前略)
反米を掲げて当選した盧武鉉大統領に対しても、米国は通貨で脅迫した。就任直前の2003年2月10日、ムーディーズは韓国の格付けを強含み(positive)から弱含み(negative)に引き下げた。
当時、通貨危機から6年も経っておらず、船出する直前の盧武鉉政権にとっては見通しを下げられるだけで大打撃だった。
引き下げの理由は同年1月10日に北朝鮮がNPT(核拡散防止条約)から脱退したことだった。が、それから1カ月も経っており、しかも2月25日の左派政権発足の直前だった。マーケットは米国の脅威と見なした。
効果はできめんだった。
同年5月の米韓首脳会談で、盧武鉉大統領はブッシュ(子)大統領に「米国の助けがなかったなら朝鮮戦争の時に(自身が)生き残るのは難しかった」と語った。
選挙期間中に「反米のどこが悪い」と叫んだ盧武鉉氏にムーディーズが詫び状を書かせたのだ。
当時、政権の中枢にいた文在寅氏も回顧録『文在寅の運命』(2011年5月)に「(米韓首脳会談の直前に)ムーディーズが韓国の信用等級を1段階下げたりもした」(265ページ)と悔しそうに記している。
(後略)⇒参照・引用元:『米韓同盟消滅』鈴置高史,株式会社新潮社,2018年10月20日発行,pp109-111
※赤アンダーライン、強調文字は筆者による
盧武鉉(ノ・ムヒョン)さんは、文在寅さんの弁護士事務所の相棒であり、政治的な師匠に当たります。
また、尹錫悦(ユン・ソギョル)新大統領も政治家として慕うなど、日本人からすると「酋長」のイメージしかないのですが、盧武鉉(ノ・ムヒョン)さんは現在の韓国政界では大事に扱われる存在です。
その盧武鉉(ノ・ムヒョン)さんが詫び状を書かされるほどの衝撃を与えた信用格付け会社。このイメージが現在も韓国政府に脈々と伝わっているのかもしれません。
つまり、信用格付け会社は怖いというトラウマがあるのではないでしょうか。
考えてみれば、韓国という国はひどい目に遭った体験をずっとひきずる癖(ヘキ)があります。
1997年のアジア通貨危機時に支援を行った『IMF』(International Monetary Fundの略:国際通貨基金)を死神と呼び、以降は「通貨スワップ」を信奉。現在でも取り憑かれたように「通貨スワップ」「通貨スワップ」と連呼します。2008-2009年の韓国通貨危機以降はひたすらに外貨準備を積み上げることに専念してきました。
信用格付け会社に格付けを落とされるかもしれないというトラウマが韓国にはあるのかもしれません。
(吉田ハンチング@dcp)