韓国メディアは、自動車産業での業績を何かというと日本と比較します。
Money1では何度もご紹介していますが、その比較は「なんだかなぁ」なものが多いのです。
韓国『現代』がアメリカ合衆国市場で『ホンダ』を抜いた!――と書いてあり、「本当かしら」と見てみると、『現代自動車』『起亜自動車』のグループで合算し、販売台数で『ホンダ』を抜いた――みたいなものです。
韓国メディア『中央日報(日本語版)』に「日産28%減、トヨタ15%減なのに…ヒョンデは米国販売3.7%減と健闘」という記事が出ました。
合衆国市場では2022年第1四半期に自動車販売台数が前年同期比で26%減少しました。
『日産』は27.5%減少、『トヨタ』は14.7%減少したのですが、『現代』は3.7%の減少で済んだ――という内容です。
⇒参照:引用元:『中央日報(日本語版)』「日産28%減、トヨタ15%減なのに…ヒョンデは米国販売3.7%減と健闘」
2022年第1四半期に実際何台売れたのかを、毎度おなじみ自動車『MarkLines』で確認してみると以下のようになるのです。
2022年01~03月 販売台数と市場シェア
『トヨタ』:51万4,592台(15.5%)
『GM』:50万9,122台(15.4%)
『Ford』:42万9,174台(13.0%)
『Stellantis』:40万7,089台(12.3%)
『ホンダ』:26万6,418台(8.0%)
『日産』:20万1,081台(6.1%)
『Hyundai』:17万1,399台(5.2%)
『Kia』:15万1,194台(4.6%)
『Subaru』:13万2,346台(4.0%)
『Tesla』:12万9,743台(3.9%)
『Mazda』:8万2,268台(2.5%)
『BMW』:7万3,714台(2.2%)
『VW』:6万4,993台(2.0%)
以下略⇒参照:引用元:『MarkLines』「米国の主要メーカー新車販売台数」
対前年同期比の減少幅ではなく、実際の販売台数では『現代自動車』は「17万1,399台」、『起亜自動車』は「15万1,194台」で、『トヨタ』『ホンダ』『日産』には及びません。
『現代自動車』の販売台数「17万1,399台」は、『トヨタ』の販売台数「51万4,592台」の33.3%、1/3です。
減少幅だけ見ると、いかにも『現代自動車』が健闘しているように思うかもしれませんが、実際の販売台数の差はこれが現実です。
『中央日報(日本語版)』の記事では、『現代自動車』『起亜自動車』が減少幅が少なくて済んだのは電気自動車が大きく貢献したと分析しています。
その意味では、日の丸自動車はこれから本気を出します。2021年12月14日には『トヨタ』が「バッテリーEV戦略に関する説明会」を行い、16車種を公表しています。
↑「バッテリーEV戦略に関する説明会」での『トヨタ』社長のプレゼンテーション/『YouTube』「トヨタ自動車株式会社」公式チャンネル
「韓国自動車の減少幅が少なかった」といった消極的な肯定で喜んでいる場合かどうか甚だ疑問です。
さらに、韓国自動車が価格戦闘力をなくす「円安」が進んでいることもお忘れなきように――です。
(吉田ハンチング@dcp)