黒字だと喜んでいる場合なのか、という話です。
2022年04月08日、『韓国銀行』から2022年02月時点での国際収支統計が公表されました。
データを確認してみます。以下をご覧ください。
2022年02月
貿易収支:42億7,330万ドル
サービス収支:5億7,000万ドル
第一次所得収支:17億680万ドル
第二次所得収支:-1億3,070万ドル
経常収支(上記4つを足したもの):64億1,940万ドル⇒参照:引用元:『韓国銀行』公式サイト「2022年2月国際樹脂(暫定)」
通関ベースで貿易収支はかろうじて黒字の「8億4,100万ドル」でしたが、国際収支統計では「42億7,330万ドル」になりました。
30億ドルほどは平気で膨らむのでこれは予定どおりです。なぜこんなことになるのかはMoney1の過去記事を参照してください。
02月が助かったのは、サービス収支が黒字で締まったことです。韓国の場合、サービス収支は赤字なので、これが「5億7,000万ドル」になったことで天地10億ドル超は経常収支を押し上げています。
この結果を受けて、韓国メディアでは「22カ月連続黒字」といった報道が出ていますが、何度もご紹介しているとおり、経常収支が赤字になるとその時にはもう韓国はグラグラしているということを意味しますので、「とりあえずは良かったですね」というだけのことです。
問題は喜んでいる場合なのか、という点です。
貿易収支・経常収支は60億ドル超も減少した
まず、2021年と2022年のここまでの貿易収支の推移を比較してみましょう。
オレンジの線が2022年ですが、2021年より下にあり、韓国にとって最重要の貿易収支の金額は減少しています。01~02月累計で比較すると以下のようになります。
2021年:114.4億ドル
2022年:63.4億ドル
増減:-66.4億ドル
2022年はここまで貿易のもうけは「66.4億ドル」(約8,240億円)も減少したのです。わずか2カ月でです。
次に経常収支を比較してみます。以下をご覧ください。
同様に、2022年のオレンジの線は青の2021年の下にあります。累計で比較すると以下のようになります。
2021年:148.4億ドル
2022年:83.3億ドル
増減:-65.0億ドル
2022年は2021年に比べて経常収支は「65.0億ドル」(約8,066億円)も減りました。くどいですが、わずか2カ月でこの結果です。
ここで注目していただきたいのは、貿易収支の減少額と経常収支の減少額がほぼ同じという点です。
韓国の場合、貿易収支の増減はほぼそのまま経常収支の増減になる――つまり、経常収支を構成する他の3つ、「サービス収支」「第一次所得収支」「第二次所得収支」は、ほとんどいってこいで経常収支の増減にほとんど影響を与えないのです。
ですから、これは「韓国は貿易収支が傾くと途端に貿易収支が危うくなる」ことの証明でもあります。
そして「残酷な四月」が来る!
――というわけで、韓国の貿易収支は国際収支統計では赤転してはいないものの、確実に減少傾向にあり、危なくなっています。
この先ですが、03月の貿易収支は通関ベースはまた赤字に転落し「-1億4,000万ドル」でした。
これは国際収支統計では黒転しますから、恐らく経常収支は黒字になるでしょう。しかし、2021年より金額が減少するのは確実です。
そして……今年も「残酷な四月」がやってくるのです。
03月、04月と国際収支統計がどうなるのかにご注目ください。
(柏ケミカル@dcp)